「休職中だけど転職活動を行いたい」という方は多いと思います。働けなくなれば休職が必要ですが、そのまま会社に戻るのが難しいケースは少なくありません。
会社に原因があれば復職をしてもまた休職を繰り返すだけですが、そのまま転職が出来れば、問題がある職場から離れられます。
わざわざ復職してから転職活動を行うより効率が良く、いつでも現職に戻れるのでリスクの回避にも繋がるでしょう。在職中の転職活動と違って時間を確保しやすいので、体力や精神面での負担が少ないというメリットがあります。
仕事を休んで今までの働き方を見直しながら、より良い求人を探すのは悪い事ではありません。しかし、一部では「休職中の転職活動がダメ」と言われているのも事実です。
メリットがあればデメリットもあるので、両方を把握しておきましょう。正しい知識を持っていれば、休職中でも問題なく転職活動を行えます。
休職中に転職活動を避けるべき理由
「休職中の転職活動はダメ」といった話を、耳に挟んだ事がある方は多いでしょう。
たしかに、休職中の転職活動は一般的ではありませんが、「絶対にダメ」というのは正確ではありません。なぜ「避けるべき」と言われるのか、詳しい理由について解説します。
病状悪化により深刻な事態になることもある
休職を選ぶ理由は人それぞれですが、「働けなくなってしまった」というのが大半だと思います。「病気や怪我」「うつ病など精神的な問題」で、仕事が出来なくなってしまった方は多いでしょう。
求人情報を収集したり、履歴書を作成したり、転職活動中は色々な作業が必要です。万全ではない状態で転職活動を行えば、病状が悪化してしまう可能性があります。
面接の対策はとても重要ですし、受けるためには応募先の企業に出向かなければなりません。採用担当者に意地悪な質問をされたりと、辛い思いをする事もあります。
体力の消耗はもちろん、精神にも負担がかかってしまうでしょう。緊張しやすい人はストレスを感じやすく、精神状態が悪化するリスクは高くなります。
転職活動が上手くいかないと、不安や焦りは増すばかりです。本来休めなければいけない体で無理を続ければ、当然体の状態は悪くなります。
>>転職を怖い・不安を感じるのは普通!怖い・不安と思う転職を乗り切るコツ
かかりつけの医師がいるなら、転職活動が出来るか相談してください。体調不良を感じた時は、無理をせずに休みましょう。
自分は今、なぜ休職中なのかを再考する(会社に対する裏切り行為?)
休職は復帰が前提なので、職場の席は残っています。休職中の転職は違法ではありませんが、一種のマナー違反です。
会社に対する裏切り行為になりますし、復帰を待っている同僚や上司にも迷惑をかけてしまいます。退職の交渉には良い反応は期待出来ず、人間関係の悪化を覚悟しなければなりません。
周囲の人間と良い関係を築いていたのなら、良心の呵責に悩む事になってしまいます。知られれば転職に失敗した時に、職場に戻りにくくなってしまうでしょう。
ただ、「パワハラ・セクハラを受けた」「働き方がブラック」など、企業側に休職の原因があるケースは少なくありません。回復しても精神的な問題で出社が出来ないという方は、増加しています。
>>職場の飲み会での嫌なセクハラ!上司や先輩によるセクハラ対策
中には病気や怪我で働き方を変えなければならない人もいるでしょう。職場環境が原因の精神疾患なら、復職をすると再発のリスクがあります。診断書や復帰出来ない明確な理由があるなら、転職を後ろめたく思う必要はありません。
もちろん、社会人としての区切りが必要なので、退職交渉は誠実に行ってください。自分がなぜ休職しているのかを考えてから、転職活動を行いましょう。
企業に処罰されることもある
企業側は復職を前提に休職を認めているので、転職は想定していません。実際に重い処分が科されるケースは稀ですが、懲戒解雇になれば転職活動に悪影響です。
企業によっては減給や降格といった懲戒処分を定めており、労働者はある程度従う義務があります。企業が社員の転職活動について調べる事はありませんが、バレてしまえば処罰は避けられないでしょう。
退職・転職は労働者に認められた権利であり違法性はないので、処罰を科されても撤回を求められます。一般の会社員はもちろん公務員にも適応されるため、然るべき所に相談しましょう。
ただし、懲戒を撤回させるためには企業との対決が必要ですし、色々な手続きが発生します。万が一バレると大変なので、会社の方針についてチェックを怠らないでください。
就業規則に注意する必要があり
休職中の社員が退職するリスクを避けるために、就業規則を設けている可能性があります。就業規則の内容は企業によって違うので、休業に関する項目を良く読んでおきましょう。
就業規則になにも記載がないなら、休職中に転職活動を行っても問題はありません。ノーリスクで転職活動を行えるので、積極的に情報収集や面接を行ってください。
企業では「就業規則の周知」が定められているため、全ての社員が閲覧出来る状態にしています。周知を怠っているなら就業規則は無効になるので、従う必要はありません。
職場に行けばすぐに確認出来ますが、無理なら電話で問い合わせてください。休職中に転職活動について直接聞くとバレる確率が高くなるので、休職制度全体の就業規則を教えて貰いましょう。
応募先企業に良い印象を与えません
一般的に休職中の人は「精神的・身体的な問題があり、仕事が出来ない状態」と認識されます。「働けない」「すぐに働けなくなる可能性がある」人材を、積極的に採用する企業はありません。
休職中であると応募先に明かす義務はありませんが、面接で嘘の答えを返すと、後々トラブルに発展する可能性があります。経歴詐称になるので、バレてしまえば不信感を抱かれるでしょう。
嘘をつかず黙っていただけであれば、採用後にバレても「解雇」や「内定取消し」の心配はありません。しかし、良い印象は抱かれないので、事前に説明しておく事をおすすめします。
転職したら源泉徴収票を渡すので、在職しているのに収入がない期間があれば、ひと目で休職がわかってしまうでしょう。ただし、短期間なら年収はさほど変わりませんし、休職中でも給料の支払いがある企業なら、バレる心配はほとんどありません。
12月に退職して1月に入社すれば源泉徴収は不要なため、転職のタイミングを調整するのも一つの手です。告げるが黙っているかは個人の判断なので、よく考えて決めてください。
休職中に転職活動する時の注意点
休職中に転職活動をしても違法ではありませんが、成功させるためにはいくつかの注意点があります。一般的な転職活動とは違う部分が多いので、十分に対策を行いましょう。
労働環境や人間関係が理由の休職なら、復職する意味はありません。長く働けない企業に在籍しても未来はないので、一刻も早い転職が必要です。
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復職してから転職活動をすると仕事との両立が難しく、一度退職してしまうと履歴書に空白期間が出来てしまいます。
働けなくなったから休職をして、最終的に退職するのは不自然ではありません。職場に「転職する」と報告する義務はないので、円満に退職が出来ます。
体調に問題がないなら、休職中の転職活動はメリットのほうが多いのです。前職での疲れを十分に癒した方が、新しい仕事への意欲が高まります。
時間をかけて求人や企業を比較出来るので、より良い転職先に巡り会えるでしょう。腰を据えて転職活動を行える休職中は、転職を行う絶好の機会です。
在職中の会社にはバレないようにする
休職中の転職活動に処罰を科す企業は存在しますが、バレなければ問題はありません。転職が上手くいかなくても現職に戻れるので、周囲に隠しながら転職活動を行ってください。
仕事をしながら転職活動を行うと、「電話対応」や「有給休暇の取得」によってバレる確率は高くなりますが、休職中なら心配はありません。
ただし、同僚や知人など思わぬ所から情報が漏れる可能性があるので、油断は禁物です。会社関係の人への相談は、親しい間柄であっても絶対にしてはいけません。
SNSで転職活動について直接書く人は少ないと思いますが、投稿した内容によっては感づかれる可能性があります。どこから漏れるかわからないので、不用意な投稿には気をつけましょう。
また、スーツを着て面接に行く姿を、上司や同僚に見られてしまうと危険です。移動手段を車にしたり、面接を会社の勤務時間にしたり、対策を十分に行ってください。
>>働きながら転職は難しい?働きながら転職のコツは?
収入があるからと安気にならない
休職中でも給料の一部が支給される企業はありますし、条件に該当すれば「休業補償給付」「休業特別支給金」が申請出来ます。在職中と比べるとかなり少なくなりますが、短期間なら生活の維持が出来るでしょう。
ただし、ローンの返済や保険・年金の支払いはなくならないので、いずれ貯蓄を切り崩さなければなりません。収入があるからとダラダラ転職活動を行っていれば、生活が苦しくなってしまいます。
収入と支出を計算して、どれくらいの期間なら無理なく転職活動を行えるか確認しましょう。「働かなくても収入がある」状況に甘えてしまえば、転職活動は上手くいきません。
休職の状態が長引くと、仕事に復帰しにくくなってしまいます。体と精神の状態が安定しているなら、お金に余裕がある内の転職を目指してください。
なぜ自分は休職中であるか?応募企業の満足する回答を用意する
企業側が一番気になるのは、「休職の理由」や「なぜ今の職場に復帰しないのか」というポイントです。「採用してもまた休職する」と判断されれば、内定は貰えません。
書類選考があるので履歴書にあえて書く必要はありませんが、面接で休職の理由を聞かれたら正直に答えてください。病気やうつ病で休職しているなら、適切な治療を受けて完治した事を説明しましょう。
元の会社がブラック企業であれば、正直に話しても構いません。ただ、悪口ばかりだと印象は良くないので、事実のみを端的に伝えるのが最善です。
「なぜ復帰ではなく、転職を選んだのか」を明確にして、面接で聞かれた時に答えられるようにしてください。その上で、新しい仕事に対する意欲をアピールしましょう。
時間があるからと言って焦りを感じないのはダメ
休職中は使える時間が多いので、情報収集や面接時間の調整を余裕を持って行えます。自分に合う求人を探したり、企業について徹底的に調べたりすれば、内定を貰える確率が上がるでしょう。
時間を有効活用すれば短期間で転職が出来ますが、その分気が緩んでしまいがちです。「今日は疲れたから」「明日にすればいい」と先延ばしにしてしまえば、転職活動は進まないでしょう。
転職にかける期間が長引くと真剣度は下がってしまいますし、いくら続けても結果がでません。求人を必要以上により好みしすぎると、転職の成功は難しくなります。
「求人情報収集」「書類準備・応募」「面接」など、始める前にそれぞれにかける時間を決めておきましょう。転職にかける期間は2ヶ月~3ヶ月がベストなので、この期間内でスケジュールを組むのがおすすめです。
予め期間を定めておけば、転職活動の内容は自然と充実していきます。新しい企業で心機一転働けるように、短期集中の転職活動を心がけてください。