消防士を辞めたい理由!消防士から他業種に転職するには

仕事の不満

自らの体を張り、火事や災害の危険から人々の大切な命を守るのが消防士の仕事です。火事がない日でも、その肉体の能力を最大限に高めた状態をキープするため、厳しいトレーニングや訓練は欠かせません。

そんな、ヒーローのような消防士への憧れを幼いころから持ち、そのまま夢をかなえた形になったという人もいるかもしれません。

しかし、消防士の世界は一種独特な部分も多く「厳しい仕事」だとわかっていてもそれ以上に不条理だと感じる部分が出てくることもあります。そうなると消防士を辞めてしまいたくなる人もいるかもしれません。

安定していると言われる公務員であり、なりたくてなったはずなのになぜ?という消防士を辞めたい理由と、消防士が転職するにはどんなものが向いているのか、どんなことに注意するべきなのかなどについて解説します。

消防士を辞めたい理由

消防士と聞くと体育会系で厳しく、現場の業務内容によっては、命に係わる危険な目に遭うこともあるのは、多くの人が知るところでしょう。

それでも消防士になりたい、危険だからこそ火事や災害の被害を広げないようにする仕事に就きたいという、正義感がベースになっていたはずです。しかし、実際に働いてみると「自分は消防士に合わないのかもしれない」と辞めたい気持ちが強まる人がいます。

そんな消防士を辞めたくなる理由について解説します。

体力消耗による疲労

消防士が体力命の仕事であることは、誰もが知っていることかもしれませんが、実際の現場では想像を絶する過酷さです。特に真夏の火事現場では、体を守るための防火服を装着した状態だと、ものすごい高温になり、熱中症どころの話ではありません。

水分をいくら摂っても追いつかないくらいの状態になり、思うように水分を摂れない環境に身を置かなければならないことも多々あり、意識が遠のきそうになることもあるそうです。

しかし、暑さなどはまだよいほうです。

「体力的にキツイ」状況は、消防学校時代の過酷な訓練で経験しているはずですが、現実の火事や災害現場では、目に飛び込んでくる状況からストレスを受ける人も多くなります。体力消耗とともに精神の疲労も強くなるという状態になりやすいのです。

>>仕事のストレスで限界を感じた時の対処方法は?

また、病気やケガをしてしまうとその状態によっては、第一線から退かなければならなくなります。体力勝負なのはわかっているけれど、「体にダメージを受けたら干される」ような職業に対して、疑問を持つのは理解できるように感じます。

薄給

消防士は公務員です。公務員の中では地方公務員の分類となるため、その自治体によって給料の金額には違いがあります。また、高卒・大卒などの学歴の違いによっても、それぞれ給料は5万円くらい違うのです。

そんな消防士の平均年収は400~500万円といわれています。しかし、20~30代の消防士の多くは300~400万円で、手取り月給は13~15万円程度からのスタートとなります。


画像引用元:https://shukatsu-mirai.com/archives/71616

「ほかの業種に比べてものすごくハードなのに、給料が安すぎる」と不満をもつ人が多いようです。

一部のキャリアなどは平均でも750万円からと高給なので、その数字が消防士の収入なのだと多くの人に誤解されているようです。しかし実際には消防士の中では大きな格差があるのです。そこも警察官との共通点です。

実際に「消防士 年収」で検索した場合、なぜかこの金額が出てくるため、「大変だから高給かと思ったけど、実際には火事の無いときも多いから、案外楽な仕事かもね~。」などと言われたりもしがちです。

そのうえ消防士は休みが多いため、お金を使う時間が意外にあります。しかし、もらえる給料は少ないので、すぐになくなってしまう…という悪影響につながっています。日々の業務でストレスが多くかかれば、その発散のためにお金を使いたくもなりますよね?

>>「給料が安い!」と悩んでる人の年収アップ術

人間関係で悩む人は多い

消防士の職場には、まだまだ古い風習が根強く残っています。はっきりとした年功序列であり、階級制度です。年齢が上の人や立場が上の人の言うことには「絶対的な支配力」があるという暗黙の了解のような空気が流れています。

これは消防士に限らず、警察官や土木作業員などでも同じようなことが言えるでしょう。

そしてそんな、体力勝負の男の世界であることから、訓練中や業務中にも罵声や怒号が飛び交うことがあります。命令口調の先輩や態度の大きい上司が普通に存在するのが消防士の世界です。

なにくそ!と踏ん張れる人や調子よくふるまえる人はよいのですが、性格によってはそんな環境に萎縮して失敗を繰り返し、余計に怒鳴られるというジレンマに苦しむ人もいるでしょう。

過去にYouTubeなどに「教育」と称して怒鳴りながら暴力をふるっている様子が投稿されて、問題になったことなどもありました。そんな環境での人間関係に納得がいかず、うまく合わせて行けないと感じたときも、消防士を辞めたくなる理由となります。

>>職場のイジメで孤立被害に悩んでる人!陰湿なイジメ対策は?

ゆっくり休日を過ごせない

先ほど休みが多いということを書きましたが、休みが多く見えて実はそうとも言えないのが消防士です。当直や非番などが混ざり合った不規則なシフトなうえ、当直勤務のある日は24時間署内に居なければなりません。

仮眠や食事も署内で取り、16時間勤務という形になっています。一見休みがタップリあるように見える消防士ですが、意外に休めていないのです。もちろん急な火事などが起これば、休日であっても早朝や夜中であっても出動しなければなりません。

消防士はこの感覚に敏感になっている人もおり、休みの日でもどこかはりつめて緊張している状態になっているという人も少なくありません。警察官や医師も同じような感覚で「休むに休めない」というのは職業的に仕方ない部分もあるでしょう。

>>月80時間以上の残業は「普通」か「きつい」か?きついので転職しましょう

火事の緊急呼び出しの場合はまだ仕事だからよいのですが、先輩や上司から突然呼び出されて飲みに付き合わされたり、合コンをセッティングするように頼まれたりすることも、若い消防士には多いようです。プライベートも関係ないように扱われるのは嫌ですね。

消防士が嫌なら転職すればいい

消防士になるのは簡単ではありません。消防学校などを経て試験に合格するまでも、大変な訓練を受けて消防士となったはずです。消防士になることだけを考えて、これまで進んできたという人もいるでしょう。

しかし、ある程度若い年齢でなければ消防学校には入学できないため、現在消防士からの転職に悩んでいるとしても、まだ年齢的に若いという強みがあります。選択の幅が広いのです。

ただじっと悩んでいても、時間はあっという間に過ぎてしまいます。動くなら早い時期に越したことはありません。

そして、公務員になった人が民間に転職していくことは、珍しいことではなくなりました。専門性の高い消防士という仕事ですが、どうしても辛くて嫌なのに、無理に続けていく必要はまったくありません。転職すればよいのです。

そのためには、自分の気持ちに正直になることが大切です。自分の人生だからです。

辞めたければ辞めればいい

消防士を辞めて転職しようと自分の中で固まっても、親や親せき、友人など自分にとって距離の近い人の反対にあうことがあります。安定性の高い公務員であることや、消防士になるまでの過程をそばで見ていた過去の思い入れなどがあるからかもしれません。

場合によっては、親の悲しむ姿に、大きく気持ちが揺れ動くこともあるでしょう。もともと責任感が強かったり、頑張ることによって周りの期待に応えたいと望む人が消防士を目指したりするケースが多いからです。

でも、仕事をするのはあなた自身です。周りの人から「もったいない」とか、「よく考え直した方が良い」とか言われても惑わされないでください。その人たちが消防士をやるわけではありません。あくまでも、「自分がどうしたいのか」を大切にしましょう。

自分自身が消防士の仕事にすっかり嫌気がさしてしまい、まったくやる気がないのであれば、スッパリと辞めたほうが世の中のためでもあります。他人の命を守るという責任の重い仕事であるということを忘れないことが大切です。

元消防士にはどんな仕事があるの?

消防士から転職する人に多く選ばれているのは、それまでに培った強靭な肉体を生かした仕事です。そのため、引っ越し業務や宅配便などの運送業、建築や土木業などの体力を使う仕事に転職しようとする人が多いようです。

しかし、消防士には肉体労働だけでなく、サービス業やデスクワークもおすすめです。消防士には自分で思っているよりも多面的に強みが多いため、どちらでも可能なのです。

それは消防学校や消防署での厳しい訓練に耐え抜いた、強い肉体と精神を持っていることや、上下関係の厳しい世界で揉まれてきたため、目上への対応に長けており、礼儀正しくふるまえる人が多いことです。

また、絶対的にはっきりと大きな声で話さなければならない環境下にあったため、接客する場合にも、ものおじしないタイプの人が多く、飲食店などのサービス業を担当させても好感度が高い印象の人が多いのです。

この要素が合わさったのが、フィットネスインストラクターやスポーツジムなどのインストラクターです。もうすでにバランスのよい肉体や、整った筋肉の体になっているのが消防士でしょうから、ほかの誰よりも圧倒的に有利なはずです。

ここまで見てきて気づくのは、「消防士ほどの過酷な体力勝負の仕事はほとんど世の中に存在しない」ことがわかります。そのため自分が希望するなら、民間のいろいろな会社に転職できる可能性が高いことがわかります。

そしてこれまで、ひたすら肉体勝負の消防士だったけれど、もう肉体労働をするのは嫌だという人もいるでしょう。人によっては体を酷使したことによって、ダメージを受けている場合もあるからです。

その場合、デスクワークである事務的な仕事がターゲットになります。その場合はパソコンなどビジネスに役立つ資格を取って準備を進めておくとよいでしょう。

>>男性が事務職に転職するのは厳しいの?男性でも事務職に転職できるコツ

新しい仕事に変わることは、環境だけでなく人間関係も大きく変わるため、慣れるまでは思っていたよりも大変かもしれませんが、その分幸せを感じることも増えていきます。

消防士の仕事を経験してきたことを「自信の素」にして前向きに進んでみませんか?

タイトルとURLをコピーしました