基本給の低いブラック企業で働くデメリット

仕事の不満

働いても働いても年収が上がらない…。月給の手取りを上げたいので、一生懸命残業しているのに…。という人は、一日も早くその原因を知ってください。年収が上がらない原因が「基本給」にあるということをご存知でしょうか。

求人広告などをよくチェックしてみましょう。基本給は企業によって大きなバラつきがあることがわかります。

「基本給はあくまでも基本でしょう?いろいろな手当てが付いて、手取りで今どき25万や30万もらえるなら、迷わず応募するよ」という人は要注意です。基本給は「固定賃金」です。固定されています。

昇給すると基本給はあがりますが、そもそもの基本給設定がものすごく低いとしたら…。長年勤めて頑張っても、わずかしか増えないという結果はもう見えてしまっています。

そして、基本給が低い企業が「手当て」と称してプラスしているものは固定ではありません。会社の経営状態や方針の変化、部署替えなどによって「無くなってしまう可能性のある収入」、それが手当てです。

ブラック企業と呼ばれる劣悪な環境で働かせる企業の多くで、基本給が低く設定されていることがわかっています。そんな基本給が低いと何がいけないのか。どんなデメリットがあるのかについて解説します。

基本給が低いことによるデメリット

基本給とは別名「固定賃金」のことです。この基本給を元にして、昇給額、ボーナス・賞与、残業代、退職金の金額を決めるのが一般的です。つまり、基本給が少ないと、これらの金額も低いままということになります。

具体的な例を見ていきましょう。

ボーナス・賞与

働く人にとって、毎月の給料だけでなく、まとまった金額を手に入れることのできるボーナス・賞与は、それまで頑張ってきた証であり、引き続き働き続けて行く励みになる大切なお金です。

このボーナス・賞与も基本給を元にとして算出されるもので、例えば夏のボーナスは基本給の2倍、冬のボーナスは4倍などという風に設定されていたりします。

たとえば、基本給20万円なら、

夏ボーナス:20万円×2=40万円
冬ボーナス:20万円×4=80万円

となりますが、もしも基本給が12万円だったとすると…

夏ボーナス:12万円×2=24万円
冬ボーナス:12万円×4=48万円

かなり年収に差がついてしまいます。基本給が低くなるとこれだけの差が生まれるのですが、これならまだ少しマシな方です。

ボーナスが多いように見えるカラクリ

ブラック企業と呼ばれる会社になると、求人広告で「一見ボーナスがすごく多い」ように見える書き方をしているので要注意です。次のようなものです。

「総支給額」という言葉です。この総支給額を毎月もらえる固定給だと勘違いしまさせるあくどい手段です。

「総支給額25万円!ボーナスは入社した年から、3ヵ月分保障!」などという求人広告があったとして、ボーナス額が25万円×3ヵ月分だと「錯覚」させるブラック企業の手口です。

「総支給額の内訳」が書かれていますか?

その内訳が、基本給5万円+諸手当20万円=25万円だとしたらどうでしょう…。ボーナスは基本給の5万円×3ヵ月=15万円となってしまいます。むしろ他の企業よりも、明らかに少ないボーナスだった!ということになってしまいます。

年収アップにはボーナスは不可欠

毎月の給料の元になっている基本給をしっかりと知ることが重要ということをお伝えしてきましたが、さらに重要なのがボーナス額です。

基本給が25万円でボーナスが2ヵ月分の企業と、基本給が20万円でもボーナスが5ヵ月分の企業とでは、圧倒的に年収は基本給20万円のボーナスが高くなるからです。基本給がある程度納得のいく金額であって、昇給制度がきっちりしている企業を選びましょう。

そのうえでボーナス支給がしっかりあれば、勤続年数を重ねることで、年収を着実にアップさせていくことができるのです。

退職金

退職金の算出方法として、昔から行われているのが、「基本給×勤続年数=退職金」という計算方法です。つまり、長く勤めた人ほど退職金の金額が上がるので、多くの人が退職年齢まで、頑張って勤務しつづける「甲斐」があるというものだったのです。

つまり、基本給が低い企業では退職金の金額も極端に少なくなってしまいます。長年頑張っても退職金が満足にもらえず、老後の生活が不安なものになってしまうでしょう。

企業によっては、勤続年数や役職に対してポイントを付ける「ポイント制」や、企業への貢献度により等級を定めることによって退職金が決まる「テーブル制」の方法で退職金の額を決めているところも増えています。

残業代

基本給が低いのなら、残業代で月の手取りを上げようと考える人は多いものですが、そもそも残業代の単価の算出にも、基本給がかかわっているということを忘れてはいけません。

残業代は、1時間あたりの賃金の25%増しなどで設定するように、法律で定められています。算出方法は次のようになります。

1時間当たりの給与×1.25×残業時間=残業代

となり、1時間当たりの給与はどうやって出すのかというと…やはり基本給を元にして計算されます。基本給が低ければ、いくら残業しても…。単価が低いのでボロ雑巾状態になるだけです。

>>仕事を持ち帰り残業するのは辛いですよね!家で仕事をするデメリット

みなし残業手当でイカサマをするブラック企業

基本給が低いと残業代の単価が低くなることに加え、「みなし残業手当」で基本給の低さをわからなくするイカサマを使うブラック企業もあります。

みなし残業は経営者にとっては楽な制度ですが、働く側には損しかありません。

>>みなし残業(固定残業代制度)とは?メリットや違法性を解説(労働問題弁護士ナビ)

これは「基本給22万円+30時間分の残業代3万円のみなし残業代を導入。総支給額25万円保障」などというものです。

「おぉ!25万円もらえるのは、残業代が保証されているからなのか。これなら残業にならないように頑張ったり、仕事量が少なくて残業が減ったりした時でも、残業代はそのままいただきだ!ラッキー!」という罠にハメるというものです。

そもそも定時の8時間できっちり終わる保証などありませんし、みなし残業として「多めに給料を支払っているよ」というのがそもそもの罠なのです。

なぜなら、みなし残業分は「手当」として扱われるため、みなし残業を超過した分しか残業代として計上されません。そうなると月に80時間の残業をしたとしても、書類上は50時間しか記載されません。

法外な残業を低価格でさせるブラック企業の罠なのです。

>>月80時間以上の残業は「普通」か「きつい」か?きついので転職しましょう

なぜ企業は基本給を下げるたがるの?

基本給を低く設定するのは、なにも中小企業だけではなく、名の知れた大企業でも基本給の低いところはあります。

それは、企業側にとってメリットがあるからです。実際に企業がどんなことが目的で、基本給を下げるのかを見ていきましょう。

人件費の削減

会社はトップひとりだけで回すことはできません。従業員あってこそ収益を上げて発展していくものです。しかし、すべてがうまくいくとは限らず、人件費を支払うことが難しい経営状態になることもあります。

すると、厳しい条件でさらに効率よく働かせ、人件費を極力削ってしまおうと考えるようになるのです。そのため常識を超えた残業時間や、低賃金で働いてもらう手段を考えなければなりません。

そうなると多くの人が漠然と「給料」として捉える総支給額は大きめに設定し、その内訳である基本給を極端に低くすることで、大幅に人件費を節減することができるのです。

不景気になった時のために

世の中の経済状況は、いつどう変化するかわかりません。従業員に対して支払う多くの経費は「基本給」を元にして支払われるということを経営者は知っています。

いざ不景気になったときに困らないように、「低い基本給」にしておけば、経営者側の負担を大幅に削減できるからなのです。「経営の調整弁」としてあくまでも経営者側の保身のために低い基本給に設定しておきたいものなのです。

昇給額の上昇幅を抑えられる

一般的な企業では、定期昇給と言って年に1回程度、4月ごろに昇給する制度を取り入れているところが多いのですが、この定期昇給額には、基本給による上限が定められています。昇給額は4000~20000円くらいと、職種や企業によって大きく違います。

そのため基本給が低ければ、昇給額の上限幅も抑えられてしまうのです。

もう一つの昇給の方法としては「ベースアップ昇給」がありますが、この制度はすべての社員の給料が同じ金額分上がることなので、よっぽど業績が上がっている企業でないと実現しません。

また、なぜか昇給する気配がなく「いつ、いくらくらい昇給するのだろう」と思いながら働いている人もいますが、この昇給という制度には法律で絶対に行わなければならないという規定がありません。

昇給について「就業規則に記載されていなければ支払わなくてもいい」お金なのです。また、経営状態によっては支払われなくなることがあるという記載をしている企業もあります。

いずれにせよ、基本給が著しく低いのは、ブラック企業以外のなにものでもありません。真面目に頑張れば日の目を見るどころか、働き損なだけでなく心も体も壊れてしまいます。基本給や就業規定を今すぐチェックして、働き方を見つめなおしましょう。

>>正社員なのに昇給しない理由!搾取されてるだけ!そんな会社はさっさと辞めましょう

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