中間管理職を辞めたくて悩んでいるという人が増えています。もともとは出世を希望していた人でも、実際に管理職の立場になってみると思っていたのと違ったというズレが起こるのでしょうか。
役員の下に位置しない部長も中間管理職にあたりますが、一般的な企業では課長・係長がもっとも厳しい立場に立たされている「ザ・中間管理職」のイメージを持つ人が多いでしょう。
平社員たちから見れば、晴れて出世した憧れの人のはずですが、なぜか実際に課長や係長の立場になった人は、なんとも苦しい悩みの中にいる確率が高いというのです。
中間管理職は大変😎
上からは詰められ
下からは文句いわれ
だから俺がいってやる。
中間管理職の方々、
頑張ってるぞ、おまいら😎
— ぬきまる店長@携帯電話のプロ (@nukimaruda) 2019年5月2日
昔は昇進したら赤飯炊いて一家でお祝いしたものですが、現代では中間管理職層の離職率がアップしており、転職したいと悩む一家の大黒柱に不安を感じながら暮らしている家庭も多いのが実情です。
寝ても覚めても気分はどんより、辛くて辞めてしまいたいと思っても日々こなさなければならない仕事が山積みで身動きが取れずに苦しんいるというのです。そうなると立場が上がった責任もあって会社での拘束時間はどんどん長くなるので、思考回路はショート寸前の危険な状態になってしまいます。
正しい判断までができなくなってしまうのは考えものです。そんな悩める中間管理職の人はどんな対策をして、これからの会社人生を過ごせばよいのでしょうか。具体的な対策だけでなく、前向きに転職を考えてみるのもおすすめです。
管理職である部長や課長の悩みやデメリット
中間管理職が課長や係長なら、管理職のトップは部長になります。そんな部長や課長は、部下への指導や指示を的確に出さなければならず、思うようにならない現実に行き詰まり、悩むことも多くなります。
適材適所という言葉があるのだから、可能性を買われて管理職に配置されたはずですが、そこは生身の人間同士が我のぶつかり合いをしながら働く会社という場所です。管理職になった人にしかわからない悩みや苦しみ、デメリットがあるのです。
まず多くの管理職の人がぶち当たる壁が「板挟み状態で身動きが取れなくなる」ことです。上からは良いようにコキ使われて、下はちっとも言うことを聞いてくれず、舐めてかかられているという地獄のような立ち位置です。
中間管理職の悲惨な点は上からも下かも好かれ難い点なんですよね。
憧れの課長(部長や係長も)になったのはいいけど精神をやられて辞めたいんだよね!と思ってる人は多い。
まじで疲れますよね…
— 山田鉄男@シゴツカ (@shigotsuka) 2019年5月24日
私もツィートしてますが誰からも好かれない立場に変わってしまうのです。ある意味オワコンです…
自分の上司になった人の性格によっては、部下に何でも押し付けようとする人がいます。何もかも下に丸投げというヤツです。そのわりには細かく進捗状況をたずねてきて、遅いだの手ぬるいなどと、やり方にケチを付けるのです(働いているフリです)
しかし中間管理職になった自分には、その部下にあたる人間を指導しなければならないという「もう一つの顔」もきちんと成立させる必要があります。
そのため、上から言われたことをできるだけ忠実に、求められたクオリティーで完成させられるようにすると同時に、部下を動かしていかなければなりません。
つまり、管理職は実際に自分が動いて、目に見える成果を出すプレイヤーではありません。部下の上に立ってマネジメントしていく能力と、やる気を持たせてうまく引っ張っていくリーダーシップが必要な存在ということになります。
この前までは、上に指示されて動いていれば良かった自分が、頑張って成果を出せば褒めてもらえていた自分が、今度は人を動かさなければならない立場になるのですから大変です。
そんな中間管理職というポジションの持つ特性に、モチベーションを上げることができずに、うまく対応できないという悩みを持ちやすいのです。
もちろん最初からうまくいくのは無理なのですが、どうしてもうまくいかないと感じてひたすら自分を責めたり、会社に来ることすら辛過ぎるというレベルにまで行き詰ってしまったりという人は少なくありません。
味方がいなくなる?
このような状況の中で、日々の仕事に取り組まなければならない中間管理職たちは、頑張って当たり前、成果を出して当たり前という立場に置かれます。働く環境は前よりも過酷で勤務時間が長くなるのに、残業が付くわけでもありません。
そして、これまで同僚だった人間は部下となり、時には厳しく注意しなければなりません。そのため、これまでとはどこか違った空気が流れ出すようになります。
和気あいあいと一緒に上司の悪口を言い合っていた仲間は、管理職になった時からそうではなくなるのです。
つまり、上からも下からも「嫌われ役」になる覚悟をしなければなりません。どちらからも親しまれよう、好かれようなどと考えていると誰も引き締める人がいなくなり、何も達成できなくなってしまいます。
>>職場の人間関係に疲れた人!仕事を辞める前の対策は?
なにより辛いのは、大切な家族と過ごす時間も少なくなることです。中間管理職の多くは、家族のために頑張っている人がほとんどなのに、家庭に居る時間が少なくなると家族に冷たくされることが増えていきます。
プライベートの時間も減るため、独身の人ならば友人や彼女と過ごす時間も減り、どんどん疎遠になっていくでしょう。つまり、中間管理職になって多忙極まりない生活をし続けることによって、安らげる場や自分の大切な人との時間まで減ってしまいます。
出世はしたけれど孤独を感じ、自分には味方がいないのではないかとすら思えてくるのです。
>>職場で疎外感や孤独感を感じた時の対策。限界なら辞めればいい
管理職を辞めたいと思った時の対策
管理職なんてなんの特にもならないし、もうやっていく自信がないから思い切って辞めてしまいたい!と思う人も多いでしょう。中には経営者に直に訴えて、降格を申し出ようかと考える人もいるかもしれません。
でもいきなり辞めてしまうのではなく、管理職の立場をもう少し頑張ってみようかな…という迷いがあるなら、次に紹介する対策を試してみてください。
流れが良い方向に変わるケースもあります。
自分メインの力でやろう!とすると過労とストレスに悩まされる
管理職になるとこれまで以上に、仕事の責任が重くのしかかります。部下の生活がかかっているから、自分が一番頑張らなければならないと考えるのは間違いではありませんが、あまりにも重く深刻に考え過ぎるのは失敗のもとです。
自分だけのプランや仕事のやり方を全面に出して、部下を思い通りに操作しようとする人がいるのです。そうなると部長や課長、部下の忠告を全く聞き入れず、自分メインの力で仕事をこなそうとしていることにならないでしょうか。
ということは、周りの人は関係ないと言う状態になります。それでは、どうしても反発が起こってくるでしょう。反発が起これば、業務はスムーズに運ばなくなります。疲労とストレスは溜まる一方で、状況はますます悪化していきます。
一生懸命になるあまり自覚症状がないままに周りを無視した、自分メインの働き方をする自己中な管理職になっていないでしょうか。
なんだか最近、誰も自分の話を聞いてくれないとか、上司や部下の態度が悪いせいで疲れが酷くてストレスが軽減されないと周りを責める前に、なんでも自分をメインにしてエゴイスティックに仕事に取り組んでいなかったかを今一度確認してみてください。
「自分のやり方こそが正しいのだ」と鼻息を荒くして仕事をしていると、うまく仕事が流れて行かなくなるのです。自分が動かなければ何も始まらないと思っているのは、案外自分だけだったりします。
恥を捨て職場の人間に頼る
元々、自分ひとりで仕事を進める方が楽だという人もいます。なかなか思うように動いてくれない部下に指示を出して嫌な顔をされたり、予想外のやり方で台無しにされたりするくらいだったら、最初から自分がやるんだという考え方です。
しかし管理職に選ばれたということは、それだけ複数の人を管理しなければ仕事がまわっていかないレベルの、大きな任務を課せられたという意味になります。そうなると、一人で抱え込んでキャパを超えた仕事量をこなそうとすると、どうしてもミスが出てしまいます。
そうなると時には部長や課長などの上司に頭を下げて、助けてもらわなければならない場面も出てくるでしょう。
管理職という立場にあるからこそ、恥をかくのは覚悟の上で周りの人間を頼って下さい。部長になったのに、課長なのにいまさら上司や部下を頼るなんてできない!と言っている場合ではありません。ミスしたり損害を出したりする方がよっぽど迷惑です。
頼られた方は、最初は反発したり驚いたりするかもしれませんが、やがて自分が会社のために役に立てたという喜びを知ることでしょう。もちろん、他人を頼るためには相手に素直にお願いすることと、お礼やねぎらいの気持ちを伝えることも忘れないでください。
頼る相手は上司でも部下でも同僚でも構いません。立場によって自分のキャラを作り過ぎると、いざ困ったときに誰にも頼れなくなるので、できるだけ虚勢を張るのはやめましょう。
特に元同僚は、管理職になったあなたをうらやましく感じたり、優れているから選ばれたのだと思ったりして身構えているかもしれません。本当は自分に何かできることはないのかとジリジリしているかもしれないのです。
頼ることも他人をうまく動かすための重要なテクニックです。一時のプライドや恰好をつけることによって、あとあと大きな損害を出したりすることのないように、もっと柔軟な自分になりましょう。
強い人ほど自分の弱さを知っており、時にそれを素直に見せることができるのです。
>>仕事量の多すぎる人の対処方法は?仕事を辞めて転職すればいい
メンターを探す
管理職に求められるスキルには大きく分けて二つあります。一つは現場で働く部下たちが具体的にどんな仕事をすれば良いのかを支持しながら、業務を維持しつつ管理する力です。それを「マネジメント」と言い、中間管理職はミドルマネジメントと呼ばれます。
もう一つはリーダーシップです。経営者の意図を汲み取りながら、よりよく業務を行っていけるようにプロデュースしなければなりません。ただ部下を動かせばよいのではなく、彼らの能力を伸ばして成長させてあげる役割もするのが、真のリーダーシップのある人です。
これらマネジメントとリーダーシップはどちらも同じくらい必要で、なかなか自分一人の考えや机上論だけでは、その能力を最大限に伸ばすのは難しい部分があります。
そこでおすすめなのがメンターを探すことです。メンターとはわかりやすく言えば「相談相手」のことです。
メンター制度といって、大企業では頼れる相談役を最初から配置しているところもあるくらいです。そのくらい管理職という立場には悩みが多く、自分一人ではすべてのケースにうまく立ち振る舞うことは難しいのです。
企業にメンター制度がないなら、マネジメントや管理職の経験を豊富に持ったメンターを独自に探すのです。先輩や友人などにそのような人がいれば、メンターになってくれるようにお願いしてみましょう。生の声が聴けるのでとても心強いでしょう。
しかし、なかなかそのような人は見つからないというのであれば、マネジメントセミナーを聴きにいったり、わかりやすくアドバイスが書かれた書籍を見つけて熟読したりしてみたりもOK です。
今はフェイスブックやツイッターからメンターを探すこともできます。自分なんて…と消極的にならずにまずはアクセスしてみてはいかがでしょうか。
参考:不肖山田鉄夫のツィッター(転職シゴツカ公式)
自分にとって尊敬できて、頼れるメンターを選ぶことで、仕事だけでなく人生にも大きく変化をもたらせてくれるでしょう。
降格や部署異動をお願いする
中間管理職の仕事はどうしても自分には不向きだと感じた場合、思い切って上に申し出て降格させてもらうという方法もあります。(降格制度がすべての企業にあるわけではありません)
50代以降などで昇給や出世を今後一切望んでいない場合には、それも有効かもしれません。
また、大企業などで他にも部署があるのなら、部署移動を申し込むのもアリです。他の支店などに転勤を希望してしまうのもよいでしょう。
しかしそれでは、中間管理職という担当から外れることはできても、同じ会社に居続けることになんら変わりはありません。
そのため「あの人って管理職が務まらなくて降格したんだけど、会社にしがみついちゃってさ、まだ辞めないんだよ。」などと黒い噂のタネにされる可能性も覚悟しなくてはなりません。
そして何より、一度そのような降格や役職変更のための転勤などを申し出ると、その会社での昇進は望めなくなります。30~40代の若さで、そんな扱いをされながら仕事を続けるのは、なかなかヘビーなのではないでしょうか。
与えられた仕事を途中で投げ出した残念な人というレッテルを貼られるのです。そんな扱いを受けるのは、やはりプライドが傷つくという人も多いでしょう。
ならば、今の会社にしがみつかずに思い切って違う企業に転職をしたほうが、心機一転して頑張れるので精神的にも健康的にも良いのではないでしょうか。
管理職は管理職でも楽な管理職の企業に転職する
管理職の仕事なんて、どこも同じだと決めつけていませんか?「管理職になったせいで自分は仕事をうまくやっていけなくなった」と感じて転職を考えた場合でも、あまりネガティブになり過ぎないことが大切です。
企業によって管理職の働き方やスタイルは、全然違うということに気づかなければなりません。楽な管理職の企業を探せばよいのです。管理職だからと言って残業ばかりとは限りません。待遇面や職場環境をしっかりとチェックしてみれば、楽な管理職も見つかるはずです。
そして管理職から管理職への転職であれば給与面も同じくらいか、場合によってはそれ以上に多くもらえる可能性も出てくるでしょう。
ただし、管理職に就いている人が実際に転職しようとするのは甘くはありません。次のようなデメリットもあるのだということを知っておきましょう。
年齢の問題
一般的な企業の管理職に就いている人の年齢は、20代などの若い世代の人はまずいないでしょう。若くても30代前半、平均的には30代後半~40代以降の人が大半を占めているはずです。
そうなると管理職から管理職へという役職付きを希望するどころか、転職すること自体が狭き門になってくる年齢に入っているという厳しい現実が目の前に立ちはだかることになります。
しかし、30代で中間管理職の立場にあった人の転職は、40代に比べると少し有利です。この場合、管理職のポストにこだわらずに新たなスタートを切る意味で一般社員から始める意気込みを見せることができれば、採用する側にはさらに良いアピールになるでしょう。
>>30代で未経験の業種(職種)に転職するのは厳しいの?
なぜなら、管理職を経験した30代という経歴は、一般社員としてすぐれたスキルが他の誰よりも認められたという大きな強みを持っているからです。
しかし40代の場合は年齢がどうしてもネックとなり、転職には時間がかかることを覚悟しておく必要があります。
特に40代で部長や課長をしていたという雰囲気があまりにも定着しすぎていると、自分では意識していなくても、なかなかの貫禄がついてしまっており転職には少々不利です。謙虚に新しい気持ちで出直すという姿勢が大切です。
>>中高年の再就職は厳しいのか?転職を成功させるコツ
年収ダウンの問題
中間管理職として働いてきた人が転職するとなると、新しい会社では1からのスタートになることがほとんどです。これまで中間管理職をしていたからと言って、一般社員としての給与面が優遇されるなどは、まずありません。
管理職としてのマネジメント能力は、一般社員にもぜひとも欲しいものではありますが、収入面では劇的に少なくなってしまうことは覚悟しましょう。家族のいる人は特に、年収ダウンの問題には慎重にならなければ、大きなトラブルの元になりかねません。
パートナーにきちんと相談し、話し合いましょう。たとえ年収がダウンしてもそれによって心身が健康で前向きになり、元気で長期的に働けるようになるメリットは計り知れません。
>>年収が下がっても転職するメリット
しっかりと考えた上で管理職という立場からの転職を決意したのだということを家族や大切な人に伝え、年収について交渉できる会社を探すのも一つの方法でしょう。