成果を出せば、それだけ認めてもらえるのが嬉しい!成果主義の会社でこれだけ稼いでました!そんな体験談やインタビュー記事を目にしたことはありませんか?
年功序列なんて時代に合わない、若者が評価されないなんて不平等…。大手企業が続々と成果主義や能力主義に切り替えている今日、年功序列制度に「悪」のイメージを持っている人も多いことでしょう。
デメリットな面だけがクローズアップされがちな年功序列制度ですが、もちろんデメリットだけではありません。働く側にとっても、雇う側にとっても大きなメリットがあるからこそ、長い間、多くの企業で採用されていた制度なのです。
今回は年功序列制度のメリットやデメリットについて詳しく解説していきます。
あなたの働き方に合うのは年功序列?それとも成果主義でしょうか。
年功序列はどんな仕組?
・勤続年数
・年齢
この二つを重視して昇進や昇給を決める制度や風習のことを年功序列制度といいます。終身雇用を前提としており、勤続年数が長い年配者ほど給与が高く役職につける仕組みです。
もともと、より良い条件や賃金を求めて転職を繰り返す労働者を「安定」という名のもとに引き止め、新しい人材の育成をはかるための策だった年功序列制度。多くの企業が採用し、日本の典型的な雇用制度として定着したのは戦中から戦後にかけてです。
10代20代の若者層が圧倒的に多かった当時、将来の担い手である彼らを人材として育てるためには教える側である「有能で経験豊かな職人」を長く手元に引き止める必要が企業側にはありました。
長く勤めれば給与が自動的に上がり、終身雇用が約束されているという条件は労働者に大きな安心と満足を与え愛社精神を植え付けるのにうってつけだったのです。
では、なぜ最近になって年功序列が良く言われなくなったのでしょうか。
ひとつは少子化による若者層の減少。単純に教える側のほうが多くなってしまったことでバランスが崩れ、長く勤めるほど給与が上がるという制度が企業の首を絞めているのが現状です。
ふたつめは社会の変化。学生時代から当たり前のようにパソコンを使い、ネットを利用することで社会人になる前から稼ぐ若者も増えています。自分で考えて動き、それが稼ぎに直結する快感を知ってしまうと年功序列になじめないのは当然ですよね。
娘。も年功序列無くして実力主義でよくない?\(^^)/
— からあげちゃん♡♡ (@masaking_kapi) 2019年5月25日
成果主義がもてはやされ年功序列が消えていっている原因は、年功序列制度そのものが悪いというわけではなく、その仕組みが時代に合わなくなりつつあるからといえそうです。
年功序列のメリット
・安心感が大きい
・人生の計画が立てやすい
・社員の連帯感が強い
この3つが大きいといえます。真面目に働いていれば、一定の役職までは自動的に上がるため「同期は皆ライバル」と意気込む必要がありません。
もちろん、一定以上の昇進を求める場合はそれなりの努力や結果が必要になります。
しかし、自動的に与えられた役職につくことで「自分には向かないな」「これ以上は荷が重いな」と自分の力量を身をもって知ることができるため、蹴落とし合うような空気になりにくいといえるでしょう。
また昇給など給与の予測がしやすく、結婚やマイホームの購入といった人生の計画をたてやすいというのも大きなメリットになります。
>>20代、30代の正社員で手取り月給13~15万円(年収200万円)なら転職だろ!一人暮らしや預金、結婚はできるのか
・人材育成の計画がたてやすい
・社員が離れていきにくい
この2つになります。
離職率が下がれば、計画的に人材を育成することが可能になります。余計な新人教育に時間やコスト、人手を割かれないというのは企業にとって大きなメリットといえるでしょう。
社員は安心して働ける
年功序列のメリットとして一番大きいのは人生設計のしやすさです。よほどの失敗をしない限り順調に給料がアップするため、貯蓄や大きな買い物の予定も立てやすく安定感が損なわれません。
成果主義の場合は常に結果を出し続ける必要があるので、将来の予測がたちませんよね。一時的に上がったとしても、いつ下がるか分からないので安心とは無縁です。独身のうちは多少収入が不安定でも気になりませんが、結婚したり子供ができたりするとそうもいかないのがツライところ。
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年功序列から得られる収入への安心感は最大のメリットといえるでしょう。
成果主義の職場と違ってギスギスしてません
真面目に働いていれば一定の役職までは自動的に上がるため、成果主義の職場と違って「同期は皆ライバル」と意気込む必要がありません。
もちろん、一定以上の昇進を求める場合はそれなりの努力や結果が必要になります。
しかし、自動的に与えられた役職につくことで「自分には向かないな」「これ以上は荷が重いな」と自分の力量を身をもって知ることができるため、蹴落とし合うような空気になりにくいといえるでしょう。
>>「中間管理職(課長・係長)を辞めたい!」と思ってる人の対策は?転職するのが無難だと思う
勝ち負けといった概念が生まれないので、社員同士の連帯感や結束が損われないのは大きなメリットです。
人材育成において企業側にメリットある
企業側にとってのメリットはズバリ人材育成しやすい点にあります。
自動的に立場が上がっていくということは「入社3年目だから、そろそろアレを教えないと」「次にあのポストにつくのはあの人だから、これを今のうちに覚えてもらっておこう」といった育成計画が行えるということ。
あらかじめ準備ができることで本人も周囲も落ち着いて引き継げるのは大きなメリットです。
また、勤続年数が長いほど給与が高くなるため社員が簡単には辞めません。「あと2年頑張ればあのポストにつける」と分かっていて転職を選ぶ人もそうそういませんよね。家庭があるならなおさらです。
離職率が低ければ長期的な視野で計画的に人材を育てることが可能になりますし、結果として余計な新人教育にかける手間やコストも削減できるのです。
年功序列のデメリット
・頑張りが報われない
・有能な人材ほど辞めていく
良いことずくめに見える年功序列にもデメリットはあります。
それは、どんなに頑張っても報われる可能性が低いという点。
正確には報われるまでの時間がものすごく長いというべきでしょうか。実績があれば一定以上の昇進も可能ですから、努力が無駄になるというわけではありませんが、もどかしいですよね。例えるなら、どんなに勉強ができても飛び級ができないといったところです。
仕事ができる人にとって年功序列は「成果を出しても報われない」制度であり、「仕事ができなくても役職を与えられる不公平」なもの。頑張っても報われないなら、報われる職場に変わりたくなるのが人情です。
すべての企業が年功序列であれば諦めもつきますが、成果主義の企業も多く転職することに抵抗がうすい現在、年功序列は若者の離職率を上げる原因になりかねません。
また企業側としても年功序列は財政的にキツく、若いうちから頭角を現すような「有能な人材」が離れていってしまうというデメリットがあります。
勤続年数が長いほど給与が良いということは、社員の平均年齢が高くなるほど人件費が高騰するわけですから企業にとっては頭の痛い話ですよね。加えて、頑張っても報われない制度に失望した「若くて有能な人材」が数年で辞めていってしまうのは悪夢です。
「会社員=安定」神話は、すでに平成の時代に論破されてますよ。
最近なら富士通の45歳以上対象の怒涛のリストラ。
勉強しない中年は、1つの会社にあぐらをかくことは出来なくなっている。会社だって、生き残りに必死ですから。
今後は会社も社員も互いに甘えられなくなっていく。勉強しましょう。— ノマドくん (@nomaddesu) 2019年5月31日
ならば有能な若手を引き止めるためにも成果主義を導入してはどうかと思いますよね。実はこれ、ものすごく難しいのです。
今まで年功序列の恩恵を受けてきた社員にとって成果主義への切り替えは死活問題になりますし、これまで功績を評価されなかった社員に対する配慮も考えなければ、会社への信頼は一気に落ちてしまいます。
現状維持ではコストがかかり、有能な若手をつなぎ止められない。下手に切り替えればベテラン社員の信用をなくす。どちらに転んでもキビシイのが年功序列制度なのです。
まとめ
年功序列制度には大きく2つのメリットがあります。
・社員に安心感を与える
・人材の育成計画がたてやすい
勤続年数が長ければ自動的に給与も上がり、一定の昇進が約束される。これは社員に大きな安心感を与えます。成果に固執する必要がないのでギスギスした雰囲気になりにくく、「同期のAさんは出世したのに…」と比べられることもありません。離職率も下がるので、人材の育成計画が立てやすいのも良い点です。
しかし、年功序列は「頑張って成果を上げた若者が評価されづらい制度」というデメリットもあります。どんなに会社に貢献しても、勤続年数が少ないという理由で評価してもらえなければ不満がつのるのは当たり前ですよね。
もしあなたが年功序列制度の会社で評価されないことへの不満を抱えながら働いているなら、思い切って成果主義の会社に転職してみるのもひとつの方法です。
評価されるべきだと胸を張ってアピールできるだけの成果があるなら、転職することで今よりも良い条件下で働ける可能性は大いにありますよ。