山中武(@tyblogty)です。
【2020年12月15日】ビットクラブ創業者の保釈金が20億円に
ビットクラブ事件で逮捕されている創業者の一人「MatthewBrentGoettsche」の保釈金が日本円にして20億8000万円に設定されたことが判明しました。引用元:https://money-police.com/
仮想通貨が絡む投資の詐欺としてアメリカで逮捕者が出たビットクラブ。
日本でもかなりの人が参加していたようですが、現在預け入れた資金や出ていたはずの利益は一切出金できない状態になっています。
公式サイトにも一切アクセスできない状態というのは酷いですね。
ビットクラブは日本円にして約800億円もの被害を出したようですが、何故こんなにも被害が拡大してしまったのでしょうか。
ここではビットクラブに関するここまでの騒動を振り返りながら、返金の可能性や今後の注意点等を見ていくことにしましょう。
ビットクラブについておさらい
まずビットクラブがどういった投資案件だったのか、簡単におさらいしておきましょう。
ビットクラブはビットコインのマイニングプールとされていました。
マイニングとは簡単に言うと仮想通貨の取引記録を記録する作業を手伝い、その報酬として仮想通貨を得ることです。
そしてマイニンググループはこのマイニングを共同で行うグループのことです。
マイニングは仮想通貨を手に入れるための真っ当な方法ですし、マイニングプールも世界中にたくさんあります。
ただ通常マイニングしたりマイニングプールに参加するには、仮想通貨の取引記録を解読するための高性能なコンピューターシステムが必要になるので初心者向きではないんですよね。
一方ビットクラブは、ビットクラブがマイニングに使うコンピューターシステムへの投資をするという形でプールに参加できるとしていました。
参加者は自分でコンピューターを用意しマイニングする必要はなく、コンピューターシステムに投資との名目で、500ドルから3,500ドルの資金を出資するだけです。
報酬はマイニングの利益と新規会員獲得報酬
ビットクラブではコンピューター設備に投資するだけで、ビットクラブが行ったマイニングの報酬が会員にシェアされるとされていました。
500ドル投資すると年利は何と100%とされていたんです。
500ドル投資しただけで何もしなくても1年後には1,000ドルになる。確かにおいしい話のような気もしますが、正直いくら投資でもこんな利率なかなか考えられません。これだけで相当怪しいんですよね。
そしてもう一つ、ビットクラブには会員が報酬を得る手段がありました。
新しい会員を紹介したときに支給される紹介料です。
これは明らかにマルチ商法の仕組みですね。
(また補足として、プランスゴールドアービトラージ、ジュビリーエース・ジェンコ、ゴッドソード、プラストークン等もMLMの仕組と取り入れてました)
しかも最高額の3,500ドルを投資した人は、新規会員獲得のためのHPまで用意してもらえたようです。
そのHPからビットクラブに入会した人がいれば報酬がもらえる、アフィリエイトのような仕組みですね。
ただネット上で新規会員獲得報酬ほしさにビットクラブをやたらと推薦するHPが増えることになり、さらに被害を拡大する要因になっていました。
用意周到という言葉がぴったりです。
ビットクラブが飛ぶまでの経緯
世界中の会員から投資を受けていたビットクラブですが、2018年に配当停止が発表されたことで一気に雲行きが怪しくなりました。
配当停止の理由はマイニングによる収益が減り、会員に約束していた高額な配当が支給できなくなったからと発表されています。
ただこの時はまだ配当再開に向けて動いているようなことが言われていたんですよね。
でも配当停止からほぼ1年後の2019年9月には、アメリカの公式サイトはダウンし、日本の公式サイトも更新が止まります。
こうなってしまうと、もう会員は利益や配当を引き出したり、出資した資金を取り戻したりできなくなってしまいます。
その後は2021年現在もビットクラブに投資したお金を回収できた人はいません。
ビットクラブで逮捕者が
サイトが飛んだ後ビットクラブにアメリカのFBIの捜査が入り、2019年の年末には運営責任者が逮捕されています。
最初の逮捕者はこちらの3名ですね。
・マシュー・ブレント・ゲッチェ
・ジョバディア・シンクレア・ウィークス
・ジョセフ・フランク・アベル
捜査にあたった担当者はビットクラブをはっきりポンジスキームと報告していますね。
一番の首謀者とされるマシュー・ブレント・ゲッチェについては、会員から集めた資金に手を付ける恐れから長らく保釈すら認められていませんでしたが、2020年の末にはとうとう保釈されたようです。
2021年には量刑を決める最終審議も始まる予定で、秋ごろまでには裁判が決着するのではと予想されています。
事件の全容解明がなされるかどうか、投資をした会員への返金はどうなるのか、注視しておきたいですね。
ビットクラブの日本での推進者が怪しい
ビットクラブが日本でここまで広がったのは、セミナーなどで積極的に会員を集めていた推進者がいたからです。
ただ改めてこの推進者を見てみると、怪しい人ばかりなんですよね。
・玉井暁(モンスター玉井)
ビットクラブだけでなくジュビリーエースなど他の仮想通貨詐欺のマルチ商法にも関与していた疑いあり。東京国税局から脱税で告発された過去を持つ。
11月9日、金融商品取引法違反で、投資会社役員の玉井暁容疑者(53歳)らが逮捕された。’19年4月頃から金融商品取引業者として登録しないまま全国でセミナーを開き、前述の誘い文句で仮想通貨への出資を募っていた。
「’20年11月までに約650億円を集めたとみられています。彼らの手口は、仮想通貨を買った会員に新規会員を集めさせ、紹介料を払うというもの。いわゆる『マルチ商法』の手法で、会員を増やしたのです」
引用元:https://news.yahoo.co.jp/
・チャーリータカ
被害金額は450億円のスピーシー詐欺事件の首謀者とされている。東南アジアの油田や不動産への投資に関する情報商材も売り出していましたが、こちらも詐欺ではないかとの疑いを向けられています。
・宿利原卓
ビットクラブだけでなく格安旅行のマルチ商法であるワールドベンチャーズにも参加していた。海外ファンドの勧誘を金融商品取引業の登録を受けていない代理店で行ったとして行政処分された過去あり。
・泉忠司
彼が話題となった事件はビットクラブではなく、詐欺通貨としてやり玉に挙がった仮想通貨「ノアコイン」のセールスを行った件。フィリピン政府公認や断定的な言葉ばかりを使いノアコインを宣伝した結果、ほとんどの話が嘘だったという口から先に生まれたような男。
現在は嘘をついたとバラし謝罪も行ったようですが、とても許されることではありません。仮想通貨自体の信用問題にまで発展した事件の首謀者なのですから。
上記の他にもビットクラブのセミナーを行う業者は存在しますが、小物過ぎて紹介するまでもないで割愛します。このように過去に怪しい経歴を持つ人物ばかりが「儲かる」と宣伝する商品、私は注意が必要なサービスだと思います。
引用元:https://money-police.com/
ほんの一部の関係者だけ紹介しましたが、過去に詐欺と疑われるようなネットワークビジネスに関わったことのあるいわくつきの人物が揃っています。
この時点でビットクラブが危険な投資案件であることは大体想像が付きますね。
ビットクラブは詐欺だったのか?
ビットクラブは結局詐欺だったのかどうか。アメリカの捜査員がポンジスキームと言っているようなので、詐欺事件で間違いないでしょう。
ポンジスキームとは投資などで得た利益を出資者に配当するという名目でお金を集めておきながら、実は投資は行われることなく後から入会した人の資金で先に入会した人に配当を支払う詐欺のことです。
最初は利益が出ているように見えるものの、運営者は会員が出資した元本がある程度手元にたまったら、それを持ち逃げしてしまいます。
ビットクラブはマイニングで得た利益を会員に配当すると言っていました。
2018年頃までは本当にマイニングが行われていたものの、普通に考えてマイニングの利益だけで年利100%もの利益を全会員に配当することは不可能です。
アメリカの運営者がビットクラブに投資してくる人たちを子馬鹿にするような発言をしていたとの情報もあり、恐らく発足当初からポンジスキームが目的だったであろうと考えられます。
被害を拡大する要因になったマルチ商法ですが、これは違法ではありません。
・ねずみ講→会員を勧誘して増やしていくが商品販売がない→違法
・マルチ商法→会員勧誘して増やしていくが商品販売を伴う→合法
ビットクラブは投資商品を販売しているためマルチ商法となり、それ自体は合法です。
日本で多数の会員を勧誘していた推進者が逮捕されないのは、マルチ商法をしたというだけでは違法性が問えないからですね。
勧誘の際に誇大広告や虚偽があれば責任を問うこともできますが、これだけでは大した罪にならないことがほとんどです。
ビットクラブ詐欺返金の可能性は?
ビットクラブの詐欺返金の可能性はあるのでしょうか。
アメリカでの運営者の裁判の行方が気になるところですが、運営者は逮捕される前からすでに会員から集めた資金を私的に使い込んでいたはずです。
運営に全ての会員に返金する資金が残っているとは思えません。
さらにアメリカで摘発されたということで、返金されるとなってもまずはアメリカ居住者からになる可能性も高いです。
アメリカ当局が日本人にまで返金手続きを行ってくれるかは正直疑問です。
ポンジスキーム詐欺で後に資金が返金されることはまずありません。
本当に残念ではあるのですが、今後返金される可能性は低いと言わざるを得ません。
ビットクラブの詐欺に合った方への注意事項
返金の可能性が少ないと聞くと、ビットクラブの詐欺に合った方はなんとかその損失を取り返したい気持ちになると思います。
ただ注意していただきたいのは、詐欺にあった後は新たな詐欺にあいやすい時期であることです。
先ほども触れたように、ビットクラブのマルチ商法に関わっていたリーダー格には、過去にも他の商品でマルチ商法したことのある人が多いです。
ビットクラブでの損失を穴埋めしたい気持ちにつけ込むように、新たなビジネスに勧誘してくる人もいるでしょう。
ただマルチ商法を取り入れたビジネスや投資で、本当に稼げることは非常にまれです。
これ以上の損失を被らないためにも、甘い誘い文句には十分以上に注意するようにしてくださいね。
まとめ
仮想通貨はFX投資のように自分でできる投資で、将来性を期待されている上に利益を出している人もいます。
ただ仮想通貨投資に興味はあるもののあまり知識のない人が多いこともあり、詐欺まがいの投資案件が横行しています。
これまでいくつもの仮想通貨関係のポンジスキームが問題になっているので、ビットクラブのようなありえないほど高い利率を掲げる怪しい案件には関わらないようにしてください。
ポンジスキームはただでさえ返金されることが稀な上に、運営が海外の場合は日本から返金を求める民事訴訟を起こすことすら難しいです。
ビットクラブは日本の公式サイトからはまだ新規登録できるようになっていますが、間違っても投資してしまうようなことがないように気を付けてくださいね。