転職癖や辞め癖のある人の治し方は?転職癖のある人はどんな人?

転職・就職

終身雇用制度が崩壊した現代の日本において、職場を変えるのは珍しいことではありません。とはいえ、あまりにも頻繁に転職を繰り返していると「もしかして自分って病気なのでは」「このままだと結婚できないのでは」と不安になる人もいることでしょう。いわゆる転職癖がある人ですね。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」にある年齢階級別平均勤続年数によると、男女ともに30~34歳の平均勤続年数は5年前後なのだそう。ちなみに1980年代からずっと10年を超えたことはありません。

年齢が高くなるほど平均勤続年数が長くなるので、逆に言うと、若い20代の平均勤続年数はより短いと考えられます。現代人は、大なり小なり転職癖を抱えているといっても過言ではないようです。

しかし、どこの職場でも1年もたないという転職癖がある人は少し注意が必要です。単純に生活環境が頻繁に変わるので心身にストレスが溜まりますし、生活基盤が安定しないというデメリットもあります。転職癖がある人にはどんな傾向があるのでしょうか?また、治す方法はあるのでしょうか?

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転職癖のある人はどんな人なの?

職場を転々とする転職癖のある人にはどんな傾向があるのか…と考えたとき、「忍耐力や根性がない」とイメージする人は少なくありません。

みんな多少の嫌なことは我慢して今の職場で働いてるのに、あの人はすぐに辞める、だから忍耐力がないと結論づけてしまうのです。

確かに当てはまる人もいることでしょう。しかし、転職癖がある人がみんな根性なしと決めつけるのは早計です。転職癖がある人には、ほかにも共通することがあります。

単純に職場に恵まれてこなかった

転職癖がある人の中には、これまで職場に恵まれてこなかった人もいます。転職先がいつもブラック企業だ、なぜか必ずパワハラ上司がいる、人間関係が悪すぎて同僚がメンタルを崩して辞めていく‥このように誰が見ても嫌な職場というのがあるのです。

しかし、その場にいない人には理解されないので、「あなたがワガママだからそう感じただけなのでは」という誤解をされてしまうのです。

環境を変えることに抵抗がなさすぎる

人間は本来、変化を恐れる生き物です。だからこそ、多少嫌な職場でも我慢して働きます。しかし中には環境を変えることに抵抗が全くない人もおり、こうした人は合わない環境と判断するとすぐに転職してしまいます。

彼らは、ある意味とても器用な人だといえます。普通は、仕事を覚えたり人間関係を構築したりするのに費やした時間と苦労を考えたら、新しい環境でイチから始めるのをためらうものです。しかし彼らは、それほど苦労しないのでしょう。

それだけ高いポテンシャルを秘めているのですから、自分に合った職場で長く働けたら昇給やキャリアアップが望める可能性があります。

職場に求める理想が高すぎる

オフィスの雰囲気や立地から給与面・福利厚生まで、あらゆる面で自分にとっての理想を求めてしまうと、長く働ける職場に出会えません。自分の才能を活かせる仕事じゃないと嫌だといった、仕事内容に対するこだわりが強すぎる人もこれに当てはまります。

理想が高すぎる人は、理想と現実の間で折り合いをつけるか、理想の職場で働くために今の職場で実力をつけるか、いずれにしても無謀に理想ばかり追うのを辞めなければ、転職癖はなくならないでしょう。

具体的な転職癖の治し方

転職癖をなくし、ひとつの職場で長く働き続けるには、どういったところを見直せばよいのでしょうか。ここでは具体的な転職癖の治し方と仕事に関する考え方のヒントを紹介します。

自分の転職歴を棚卸する

転職癖がある人は、これまでの転職歴を見直してみましょう。どんな企業に転職し、どんな仕事に携わり、どんなスキルを身につけたのか、どのくらいの期間その職場にいたのか、実際に紙に書いてみてください。

しかし、ここまでの内容なら職務経歴書の書き方とそれほど変わりません。転職癖をなくすためには、さらに「なぜその職場の辞めたのか」についても振り返ってみましょう。転職癖がある人が職場を辞めた理由を明確化させると、思わぬ結果が見えてくることがあります。たとえば次のような理由です。

・いつも同じような理由で辞めている
・落ち着いて考えてみたら、安易な理由で辞めている

ここで反省点を見つけられれば、次の転職先では同じ理由で辞めることがなくなります。

たとえば、いつも職場の人間関係で辞めているのであれば、自分にも治すべき点はないか振り返ってみましょう。また、安易な理由で辞めないように、衝動的に行動してしまう自分を客観視できる癖をつけることも大切です。

将来設計の明確化

転職癖がある人は、今の気持ちにとらわれて退職を決めてしまいがちです。「今、仕事が面白くない」「今、職場に不満がある」といったように現在の現状ばかりにとらわれてしまうのです。しかし、20~30年後の人生を考えたら今の気持ちにとらわれて職場を転々と変えるのは賢明ではない可能性があります。

仕事の目的のひとつに、「安定した生活を送るための収入を得る」があることを忘れてはいけません。今のように職場を転々としていたら収入が安定しないので、将来への貯蓄が十分にできません。

また、転職を繰り返す働き方にはやがて限界が来る可能性があります。先述の厚生労働省の調査で、年齢が高くなるほど平均勤続年数が長くなっているというデータが出ているのが何よりの証拠です。中高年に差し掛かると、若いころのようにすぐに転職先は見つからなくなります。

それにもかかわらず転職癖から抜け出せなかったら、最悪の場合は収入減が断たれてしまうのです。仕事を人生設計のピースのひとつとしてとらえると、安易に転職すべきではないと考えさせられるでしょう。

給与の積み立てをやってみる

5年後までにこれだけ貯金する…というように、長期的なスパンで給与の積み立てを始めてみましょう。モチベーションを高めるためには、貯めたお金を何に使うかも決めておくのがおすすめです。たとえば田舎に移住する、都心にマンションを買う、独立してショップをオープンさせるなど、お金がかかるライフイベントであるほど有効です。

次に目標額に対する年ごと・月ごとの貯金額を算出しましょう。そうすることで、より目標が明確になります。また、毎月これだけ給与を積み立てなければいけないと実感できたら、安易に転職しようという気持ちがなくなります。

次の職場でも今と同じくらいの給与がもらえる保証はないですし、転職先でも長く働き続けられる保証もないからです。数年かけて大きな買い物ができたら、転職癖を治すとともに大きな達成感も得られますよ。

自分にとって完璧な会社や職場はありません

先述の通り、転職癖がある人には職場に求める理想が高すぎる傾向があります。しかし残念ながら、自分にとって完璧な会社や職場はありません。仕事が楽しいと言っている人も、人間関係や給与面など、何かしらに不満を抱えているのです。

理想を持つことは間違いではありません。理想が全くない人は、膨大な求人情報から自分に適した職場を絞り込むことができないからです。

大事なのは、これだけは譲れないという職場に求める基準を決めておくこと。基準は1~2つだけにしておきましょう。最低限求める基準を満たしている職場であれば、ほかの点が理想にかなわなくても辞めないように頑張ってみてください。

ひとつの職場に長くとどまり続けてる過程で、良い意味で仕事に対する価値観が変わる可能性があります。強くこだわっていた理想が、自分にとって意外とどうでも良いことだったと気づいたり、偏見に基づく決めつけによるものだったと気づいたりすることがあるのです。

許容できるものが増えると、無理なくひとつの職場で働き続けることもできますよ。

自分は正社員で入社していることを念頭に置く

転職癖がある人が忘れがちなこと、それは自分は正社員で入社しているということです。

アルバイトやパートで入社した人は、仕事に対する責任が正社員と比べて軽いですし、正社員と比べて待遇も充実していないので、安易に辞めてしまっても仕方がない部分があります。しかし、アルバイトやパートと同じ感覚で正社員も会社を辞めてしまってはいけないのです。

正社員はアルバイトやパートと比べて、会社に与える影響が大きいです。仕事に対する責任の比重が全く違うことからも、それは十分に理解できることでしょう。

これは言い方を変えると、あなた自身も会社を構成している1人だということを意味します。つまり、不満を持っている職場を作り上げているのは自分自身でもあるということです。

転職癖がある人は、職場に対して「ここを変えて欲しい」と受け身の形で求める傾向が強いです。しかし、自分自身が会社を構成する1人なのですから、ある程度の範囲であれば自分で環境を変えることもできるのです。

周囲を変えたいと思ったら、まずは自分が変わることです。上司とのコミュニケーションが不十分で仕事がスムーズに進まないのであれば、まずは自分から話しかけてみましょう。部下にモチベーションを上げて欲しいなら、こちらの指示の仕方や言い方を変えてみるべきです。企画や方針に不満がある場合は、あなたの意見に影響力がると認められるまで実力をつける必要があります。

長く勤め続ければ続けるほど、発言権が大きくなり、変えられる範囲も大きくなるでしょう。環境を変えることで自分も納得して働けるのであれば、そこはあなたに合った職場と言えます。

転職しまくるのは悪いことなのか

否定的な目で見られがちな転職癖ですが、必ずしも悪いものではありません。転職を繰り返すことには、悪い点も良い点もあります。悪い点は、ここまで書いた通り、収入が安定する保証がないことです。だからこそ転職癖がある人は結婚をためらう傾向にあります。

しかし、転職を繰り返していろんな職場を見てきた人には、それだけ独自の経験を積み重ねてきたという良い点もあります。ひとつの職場で同じ仕事を10年も淡々と繰り返してきた人と比べたら、スキルも経験も豊富であることは間違いありません。ほかにもこんな良い点があります。

・職場にある悪習慣に気づき、改善することができる
・企業内の風習にとらわれない発想ができる
・職場内の派閥にとらわれず、本当にできる人を見抜くことができる
・どこに行っても新しい環境に溶け込みやすい

転職癖で培った経験をプラスにとらえれば、あなたは会社に新しい風を吹き込める存在となれる可能性も秘めているのです。

転職癖のある人は躊躇せずに転職しまくれ!

多くの人が不満を抱えながらもひとつの職場にとどまっている中、転職癖がある人は不満がある状況でじっとしていることができません。割り切りが下手だと言ってしまえばそれまでですが、別の視点から見ると、転職癖がある人は仕事に対する意欲が高いとも言えます。

淡々と家と職場を往復してればいいや…なんて考えている人よりも、よっぽど仕事に対して本気で取り組んでいる可能性があるのです。職場に対する理想が高くなるのも、そういった背景があるのかもしれません。

そして見過ごされがちですが、複数の職場で仕事がこなせること自体が高いポテンシャルを秘めていることを示します。転職癖がある人は、どこの職場でも仕事ができて当然と思っているかもしれませんが、実は誰にでもできることではないのです。

現にひとつの職場でしか働いたことがない人が、会社が倒産して別の職場についた途端、全く使い物にならないと評価されるのはよくある話です。

仕事に対する意識が高く、ポテンシャルを秘めている…こういう人は、後に仕事で大きな成功を収める可能性があります。どこかの会社で昇進・出世するのかもしれませんし、自分で事業を立ち上げるのかもしれません。

その可能性に欠けて、いま一度、本気で転職活動をしてみるのもひとつの手です。自分の治すべき点や長くひとつの職場とどまる利点も理解したうえで探す職場は、今まで何となく決めてきた職場とは違って見えることでしょう。

次の転職先も辞めてしまうかもしれませんが、これまでと同じ理由で辞めるわけではないので、あなたは必ず進歩しているはずです。

一度きりの人生ですから、その情熱やポテンシャルを活かせる場所をどん欲に探すのもひとつの働き方です。

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