大学生の大半が在学中に就活に励んで内定をゲットする中、一度も就職することなく卒業した、いわゆる大卒無職の人のことを既卒と呼んでいます。と呼んでいます。(中・高を卒業して就職していない人も既卒ですが、この記事では大卒の既卒に絞ってお伝えします)
大企業からの求人も多い新卒や、現場での即戦力を期待される第二新卒に比べると、圧倒的に不利と言われる既卒での就活ですが、本当に難しいのでしょうか。たとえ難しいとされるポイントが多々あったとしても、人間働かないわけには行かないでしょう。
そして無職でいる時間が長くなれば長くなるほど、就職するのはリアルに難しくなるばかりです。しかし最初から諦めモードではいけません。既卒だからこそ、就活を渋っている場合ではなく今すぐにでも動き始めなければならないのです。
そのためにはまず、既卒の就活が厳しいと言われている原因をハッキリと把握しておきましょう。そして、既卒であることを自分の一つの個性として捉えるくらいに強気で、前向きに進んでいくことが大切です。
それらを踏まえながら、既卒の就活を成功させる方法を解説します。
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既卒者の就職活動が厳しいのは事実なのか?
新卒者を採用することが前提となっている日本では、既卒者の就活は難しいとか厳しいと言われています。大学を卒業したのに就職が一度も見つかっていないのが既卒ですから、素朴に「なんで?」という疑問を持たれてしまっても致し方ないのです。
しかし2017年の「マイナビ既卒者の就活調査」によると、既卒者の内定率は約45%前後となっています。新卒者の内定率は70%超えですからもちろん多くはありませんが、それでも全体の半数近くの既卒者が内定をもらえているのです。
既卒向けの求人など、ほとんど目にしたことがないのになぜ?と疑問に思う人も多いでしょう。それは、新卒者の就活が厳しいという現状が原因になっています。
新卒で就職が決まっても早期退職してしまい第二新卒となってしまったり、一度就職試験に落ちたきり、その後は就活を行わなかったりなどで、20代の若い世代の人員が大幅に不足しているからです。
そんな状況を改善しようと、厚生労働省は「卒業後3年間は、既卒も新卒枠に応募できる」と法改正し、それを企業に周知しました。つまり条件にあてはまる既卒が新卒枠に応募すれば、内定をもらうことは可能になったのです。
既卒に厳しいどころか、国は受け入れ態勢を整えてくれているのです。どうせ就活しても厳しいし、仕事なんかないのだと決めつけてじっとしていないで、卒業3年以内の既卒なら迷わず就活を始めるべきなのです。
既卒の就職活動を成功させるポイント
それでも既卒の就活は、ピカピカの新卒とは勝手が違います。大学在学中に就活をしなかったという、ほかの人とは違う動きをしてきたことで既卒になったという現実は受け入れなければなりません。
それを踏まえたうえで、既卒の就活を成功させるポイントを見ていきましょう。
大企業に拘らず中小企業をターゲットにする
新卒枠が既卒にも開放されていることは前記しましたが、なにも新卒とまったく同じ土俵でガッツリと争う必要はありません。圧倒的に不利だからです。新卒の応募が猛集中しやすい大企業や有名企業に拘り過ぎることは辞めましょう。
日本の企業の95%以上を占めると言われている中小企業を狙うのです。もちろんそれだけ数が多い中小企業ですから、ブラック企業の数も多くなります。悪い企業にひっかからないよう、給与面だけでなく労働条件のチェックなど細心の注意が必要です。
しかし裏を返せば中小企業には、優良企業と呼ばれるホワイト企業も多く含まれていることを忘れてはなりません。世の中を変えるような開発や新しい発想は、多くの中小企業から生まれていると言っても過言ではないからです。
また、大企業に安泰に収まるより、若くても経営全体のことに関われる可能性の高い中小企業で仕事内容にやりがいを感じながら働く方が、モチベーションが上がる場合もあります。
既卒の就活は、新卒の応募が殺到しすぎる心配が少なく自分を生かせる中小企業をメインに行ってみることで、早めに良い手ごたえを感じられるかもしれません。
企業は人材不足を理由に未経験でも若い人材を求めている
不況やリストラなど、企業の経営が不安定だと言われている世の中ですが、多くの企業に共通して言えるのが、若い世代の人材不足です。中高年と呼ばれる世代は、比較的継続して就業しているのに対し、20代という若い人材は穴が開いたように足りていません。
そうなると、技術や経営を受け継いでいける人材がいないため、企業の未来はますます不安なものになってしまうでしょう。未経験でも良いから若い人に来て欲しいと切に願っている企業は多いのです。
未経験可の求人はもちろん、自分がやってみたい業種ならば、若手のうちに思い切ってチャレンジしてみるのも良いでしょう。既卒者はまだまだ若いのです。若いということは年齢を重ねた人にはない、意欲や熱意があるということです。躊躇せず挑んでみませんか。
なぜ若い人材は不足しているのか
若い人材が求められているにも関わらず、なぜ企業には若い世代が不足しているのでしょうか。それは、新卒入社で就職が決まっても社会経験そのものが初めてのため、会社生活にうまく適合できず辞めてしまう人が多いというのも影響しています。
勤めてみたのは良いけれど、社風が自分には合わなかったということもあるでしょう。そんな原因が重なってか、なんと新卒入社の30%は3年以内の早期退職をしているという現実があるのです。
また、そもそも一つの会社に長く勤めなければならないと考えている若い人は少なく、むしろ今やっている仕事から、キャリアアップして行きたいという考え方が定着し始めています。そのため転職までのスパンが短く、若い人材不足状態が慢性化しているのです。
そして、既卒者自身の就活に対する意欲不足も原因しています。新卒枠に応募できると聞いても、なんとなく自信が持てずに躊躇してしまい、様子を見ているうちにいつの間に活動するのが億劫になってしまい、時間だけが過ぎてしまっていたというケースです。
そうなると不足している若い世代から外れてしまいかねません。まだ既卒と呼んでもらえているうちに就活を始めましょう。
面接でのネガティブな質問に備える
既卒で就活して面接に挑む際には、必ずネガティブな質問をされることも覚悟しておかなくてはなりません。その多くが「なぜ、新卒で就職しなかったのか」というものです。
どこの企業を受けてもこの質問をされる可能性が高いので、あらかじめ答えを準備しておきましょう。その際、言い訳にしか聞こえないような幼い表現、企業のせいや社会のせいにするような、他者攻撃はくれぐれも避けてください。
新卒で就職を決めなかったのは、あくまでも自分に原因があることとした上で、面接に挑みましょう。そして、就活するべき期間(企業から見れば空白の期間)に自分は何をしていたのかを伝えることができるとベストです。
就活そのものをしていなかったのではなく、採用されずに就職そのものに失敗したというケースもあるでしょう。その場合は、そういうこともあったけれど失敗の経験を踏まえてそのあとで行った努力など、生産的な行動をして過ごしていたことを伝えましょう。
その際きれいごとばかりを並べ立てるのではなく、自分なりの素直な気持ちを伝えることも大切です。
就活の準備に時間がかかったという表現も良いのですが、その期間にビジネスに役立つセミナーを受けたり、講演を聴いたりしたことなどもあれば忘れずに伝えましょう。空白期間には、就職のために前向きな努力をしていたと面接官にわかってもらえるでしょう。
資格取得や実務で好感度アップ
企業での採用には、履歴書の内容も大きく影響します。資格や実務経験を記入する欄に書く内容がその企業での戦力として役に立つものだとかなりアピール力の高いものになり、好感度アップにつながります。
例えば、不動産関連なら宅地建物取引士、金融業界や生命保険会社ならファイナンシャルプランナー、外資系ならTOEICの点数(高得点の場合)などという具合です。その際には必ず、資格の正式名称で記入することを忘れないようにしましょう。
また、書けるほどの資格ではないと感じている場合、「●●の資格目指して勉強中」などと記入してもOKです。履歴書に書けることだけを書いて終わりではなく、現在進行形で努力している既卒であるということをしっかりとアピールしましょう。
履歴書に書くのはどうか?と思うような変わった資格なども面接官に覚えてもらうには効果的ですので、場合によっては書くことをおすすめします。
簡単に諦めず内定をもらうまで頑張る(当然ですね)
就活をしていると、思ったよりもなかなか受からないということがあります。そうなると「もう自分なんか、どこも働くところなんて見つからないのかも…。」とネガティブな気持ちがトッと押し寄せてくるかもしれません。
しかしそんな活動を繰り返していく中で、もっともダメなことは簡単に諦めてしまうことです。既卒だからうまくいかなかったのだと自分の過去を責めたり、失敗した場面ばかりを振り返って、思いつめたりするのも良くありません。
そして時には、思い切り落ち込んでも良いのです。もうこれ以上は落ち込めないというくらいに落ち込んで、最悪の状況の極限まで妄想してみることで、吹っ切れることもあるのです。やがて次に踏み出す元気が湧いてくるでしょう。
そんな行動を繰り返しながら、とりあえずは就活を続けてください。
反省することはもちろん大切ですが、ある程度ドライになって「さぁ!次!自分の良さを分かってくれるところは、きっと他にあるさ!」くらいの勢いは必要です。
そして内定をもらうまで頑張りましょう。失敗から得たことをバネにして進んで行けば、だんだん就活力が付いてきている自分に気づくハズです。
それでも自分一人での就活に行き詰った時には、頑張り過ぎずに誰かに話を聞いてもらうのも良いでしょう。弱音や本音を聞いてもらえて仕事について相談できる環境があれば、とても心強いものです。