「同族会社はブラック率が高い」という事実をご存知でしょうか。同族会社では経営者とその家族が強い権限を持っているため、風通しが悪い傾向があります。
2代目になって経営が傾いた、家族ぐるみで不正を隠蔽していたといったニュースを、見たことがある人は多いでしょう。能力の無い跡取りが継いだり、血縁者だけ待遇が良かったりと、様々な問題が指摘されています。
経営者の親族にとっては働きやすい職場でも、それ以外の人にとっては苦痛でしかありません。転職先を選ぶ時は年収や条件に注目しがちですが、同族企業かどうかはとても重要なチェックポイントです。
求人ではわからないので、同族会社と知らずに入社して、後悔をする人は後を絶ちません。中小企業は特に同族会社が多いため、注意が必要です。
この記事では、ブラックな同族会社に入社するリスクについて紹介します。同族会社を辞めたいと考えている人や、求人を探している人は、頭に入れてから就職や転職活動を始めましょう。
ブラック同族会社に転職(就職)するのはダメな理由
同族会社がブラックと言われているのには、明確な理由が存在します。一般の企業には無い同族会社特有の体質がありますが、外側からではあまりわかりません。
同族企業への転職や就職がNGな訳について、詳しく解説します。
社長や身内(幹部)のワンマン経営に呆れる
同族会社で一番心配なのは、まるで独裁者のように振る舞うワンマン社長です。創業者の力が強い傾向があり、全ては社長の一言で決まります。
立場を脅かされる心配が少ないため、会社を私物化しやすいのです。周りを親族とイエスマンで固めており、意見できる人間を排除してしまいます。
ほとんどが完璧なトップダウン型なので、下の意見は上層部に届きません。家族以外の社員は駒としか思っておらず、興味すら持っていないでしょう。
家族以外の事を考えない人間が社長なら、労働環境は当然ブラックです。気分で指示を変えたり、高圧的な態度をとったりと、社員は肉体的・精神的に苦労を強いられます。
また、偉そうな社長の態度は、親族にも影響を与えます。社長の身内だからというだけの理由で、特権意識を持ってしまうのです。
社長や親族の気分次第でクビが飛ぶなら、誰も逆らえなくなってしまいます。親族が直接の上司になれば、怯えながら仕事をするしかありません。
社長や家族が楽をすれば、その分の負担は社員に全て押し付けられます。社長やその身内の行動に振り回されて、疲弊するばかりです。
さらに、全てを自分の思い通りにできるので、公私混同が進みやすく、創業者一族が会社の資産を個人的に流用するケースもあります。
家族間だけで情報を管理しているので、不正が漏れる確率が少ないのです。もちろん、内部告発をしようとしても握りつぶされます。
上層部のほとんどが家族なら、社長の暴走を止める人間はいません。ワンマンでも有能ならまだマシですが、無能なら最悪です。
無能な2代目3代目による経営
会社を立ち上げた創業者が偉大だとしても、子供や孫まで同じとは限りません。芸能界の2世を見てもわかる通り、才能や能力が全て遺伝することはとても稀です。
一般的な会社では、結果を出した有能な人材が社長になるのが当たり前です。しかし、同族会社では、子供や孫というだけで社長に就任できてしまいます。
苦労をせずに出世をする2代目3代目は多く、周囲も特別扱いしがちです。社長の子息として周囲にチヤホヤされていれば、誰だって増長してしまいます。
全てとは言いませんが、人格に問題があるケースだってあるでしょう。立場を悪用する人間が社長になれば、最悪な事態に陥ります。
高い手腕を持つ経営者でも人の親です。どうしようもない人間でも、わが子可愛さに経営を任せるケースは少なくありません。
仮に今は優秀な創業者が経営していても、いずれは子供が引き継ぎます。病気や死去で急に、という可能性もあるのです。
会社に所属している以上、人間的に尊敬できない社長にでも従う必要があります。無能な相手にイライラしても文句一つ言えないので、ストレスは溜まる一方です。
能力や意欲が無い人間による経営が、うまくいく訳がありません。好き嫌いで人事を決めたり、戦略がまったく無かったりすれば、会社が傾くのは当然です。
経営者が無能な会社には未来はありません。「入社しても潰れる」と、考えたほうが正解です。
また、兄弟や親族が多ければ、継承権と相続で大きく揉めます。泥沼の相続争いになれば、社員は巻き込まれてしまうでしょう。
なぜか身内は高待遇
家族を大事にするのは人として当たり前ですが、会社の人事にまで持ち込むとなると話しが別です。中小企業はもちろん、大企業でも経営者の家族が重要ポストを独占しているケースは、珍しくありません。
役職を用意することで、会社の資金を堂々と家族に流せます。身内に給料を多く支払うことで、世帯の収入を増やしているケースもあるほどです。
税金は所得が多ければ税率が高くなりますが、複数人に分散させれば支払う額が安くなります。社長に報酬を集中させないことが、節税対策として有効なのです。
また、ミスをしても責められなかったり、責任をとらなかったり、社長の身内というだけで色々な部分で優遇されます。中にはほとんど仕事をしないまま、役職にだけ収まっている人もいます。
社長の身内が得をするぶん、しわ寄せを受けるのはその他の社員です。本来出世するべき人、給料を受け取るべき人から、権利を不当に奪い取っています。
自分より仕事をしない人間が良い待遇を受けているのを見て、納得するのは難しいでしょう。頑張っても給料はあがりにくく、社長と家族に取り入らなければ、要職にもつけません。
ブラックな待遇と理不尽な状況が続いては、モチベーションが低下するのは当たり前です。自分のために働いているのか、創業者一族のために働いているのか、わからなくなってしまいます。
ブラックな同族企業ではスキルアップしません
同属企業で業務内容を決めるのは、ワンマン社長と家族です。独裁が当たり前の職場は、スキルアップができる環境ではありません。
「評価されるのはゴマすりがうまい社員」という環境なら、おべっかしがうまくなるだけです。仕事で頑張っても正当な待遇が期待できないので、向上心も無くなります。
意見や提案は受け入れられないので、自由にできる仕事はほとんどありません。マネジメント経験はキャリアアップに繋がりますが、トップダウン型では身につけるのは無理でしょう。
時には社長やその身内のための、雑用を押し付けられることも。やる意味が見いだせない業務を続けても、得られるものは何もありません。
言われたことを、言われた通りにやるだけという、不毛な毎日です。非効率的で古いやり方を押しつけられても、従わなければクビを切られます。
社会人として重要な「考えて実行する力」は育たないので、新しいスキルが習得できないのは当たり前です。転職先で活かせる経験やスキルが身につかないため、長く働き続ける意味はありません。
離職率の高いブラック同族会社
同族会社の求人をピックアップすると、業種に関係無く求人数がとても多いのがわかります。求人を出す理由には欠員補充と増員の2つがありますが、同族企業の場合はほとんどが欠員補充です。
「時期に関係無く求人を募集している」「規模に比べて採用する人数が多すぎる」ような企業なら、高確率でブラックです。
転職掲示板の調べによると、その離職率は平均で50%を超えるという説もあります。同族会社に就職や転職をした人間の半分以上が、耐えられずに辞めている計算です。
通常の離職率が15〜20%なので、とても異常な数値ということがわかります。辞める人が多いのは、それだけ多くの問題を抱えている証拠です。
転職にはリスクがあるので、簡単な理由で決断するケースはほとんどありません。「残業」「パワハラ」「セクハラ」「薄給」など、考えられる理由は山程あります。
同族会社では人手が不足しているので、アッサリと採用されますが、飛びつくのは止めてください。社長とその身内に、道具のように使われるだけです。
ブラックな同族会社なら今すぐ辞めろ
同族会社で働いても、良いことは何一つありません。社長や身内に取り入らなければ出世はできませんし、気分一つで不当な扱いをされてしまいます。
同族会社で働いているなら、選択肢は「辞めるか」「辞めないか」の2つだけです。辛くてキツい同族会社で働き続けるのも、個人の自由でしょう。
しかし、出世もできず、創業者一族に怯えるだけであれば、働いている意味はあるのでしょうか?社長とその身内がしているのは、不当な労働力の搾取です。
いくら働いても、もたらした利益は社長とその身内のものです。尊敬できない相手のために苦労をするのは、精神的な苦痛を伴います。
>>仕事や上司の理不尽でストレス・イライラ!理不尽の対処方法
通常の企業であれば、社長や役員が辞めることで生まれ変わる可能性があります。大企業なら業績不振が続けば、辞任を迫られることだってあるでしょう。
しかし、株式のほとんどを一族が保有しているケースは多く、どんな状態であっても解任はほぼ不可能です。自浄作用がまったく無いので、悪化することはあっても、改善されることは絶対にありえません。
同族会社で働きたく無いと少しでも感じたなら、それが転職のタイミングです。そのまま働き続けても安月給でこき使われて、振り回されるだけなので、貴重な時間を無駄にしてしまいます。
>>正社員なのに昇給しない理由!搾取されてるだけ!そんな会社はさっさと辞めましょう
ズルズル続けるメリットは一切無く、後で転職を決心した時に苦労するだけです。年齢が上がると転職の成功率は下がるので、なるべく早く転職活動を始めましょう。
もちろん、転職先に同族会社を選ばないことも重要です。転職先がまたブラックな同族会社なら、転職をした意味がありません。
確かにごく一部にはホワイトな同族企業が、存在するのは事実です。しかし、働かずに職場環境を知ることは難しいので、ほとんど賭けになってしまいます。
社長と経営陣の名字が同じなら高確率で同族会社なので、注意しましょう。2代目や3代目が社長の会社も、なるべく避けてください。
転職エージェントは会社の情報に精通しているため、聞けば教えて貰えます。ブラックな同族会社が事前にわかるので、安全に転職活動をすることが可能です。
ブラックな同族会社を辞めてホワイトな非同族会社に転職すれば、働きに見合った待遇と給料が手に入ります。