突然ですが、看護師のあなたが今働いている職場、ブラック病院ではありませんか?
白衣の天使やナイチンゲールのイメージから、献身的を通り越して身を削ってでも無償の愛を注ぎ続けて働くのが、看護師のあるべき姿なのだと思って日々頑張っているとしたら実はそれ、間違いです。
もちろん、医療で患者を救う病院で働く看護師がそのような精神をベースに持つことは悪いことではありません。しかし、その頑張りがまったく良い方向に発揮できないブラック病院に居ては、意欲的に仕事をするどころか、心も体も病んでしまいます。
そもそもブラック病院とはどのような病院なのでしょうか。次のような点がないか、チェックしてみてください。
1. ベッド数に対して圧倒的に看護師が足りない
2. 看護師ならではのローカルルールが横行している
3. シフトに無理がある
4. 経営方針に疑問が多々ある
などが主なものです。
こんな環境や体制では、せっかくの熱意や誠意を潰されてしまいます。きちんとした医療を提供するためには、そこで働く看護師のコンディションが良いものでなくてはなりません。
しかし、そもそも院長が私腹を肥やすための病院経営になっていたり、看護師を始めとするスタッフの教育制度がしっかりしていない病院に勤めたりすると、働く人のケアはまるで無視、まさに「道具」のように使われてしまいます。
心身共に健康な状態で看護の仕事に取り組むためには、職場である病院の環境がとても大切です。なのに、患者さんとのかかわりは過酷な部分も多く、勤務体系や休日、給与面がどう考えてもおかしいのに、頑張って働き続けている看護師が多すぎます。
そのほか、一般の人までも常識だと勘違いしている「看護師あるある」の項目は多数あります。
- 看護師は臨床経験が3年以上ないと通用しない
- すぐに辞めると悪い噂が広まって看護師として転職できない
- 休憩はなくて当たり前
- 新人看護師には残業手当は付かない
- 休日はセミナーに参加するも休日手当はないのが普通
- 先輩の指示は絶対!
など挙げたらキリがありません。
また、3交代制といって日勤・準夜勤・深夜勤があります。日勤の終了後数時間後には深夜勤などという、どう考えても無理なシフトが組まれていたり、夜勤明けの会議参加やセミナー参加も絶対だったりしていませんか?
連休は夢のまた夢、まったく休んだ気がしない地獄のような勤務環境になりがちです。
他の人が急に休んだ時の穴埋めに急な夜勤が発生したら、もう疲れが体に蓄積されてしまい、意識も朦朧として危険な状態になります。
そうなると、いざ休みが取れても一日寝っぱなし、逆に寝ようとしても脳が興奮して寝付けないなど生活の質までも落ちてしまうのです。
それでもまだ、看護師だから仕方ないと考える人に気づいてほしい。それらは「普通」ではないということです。もう充分に頑張ってきたはず。これまで挙げてきたブラックな条件とは逆の働きやすいホワイト病院は必ずあります!
ブラック病院に居続ければ居続けるほど、疲労が蓄積されていき判断能力までもが低下してきます。ひたすら続けていくことによる慣れも手伝って、おかしな洗脳にかかっていることに気づかなくなってしまいます。
自分がわからなくなるまでに頑張るのはやめにしましょう。看護師を目指したときの気持ちを思い出してください。自分らしい生活、人間らしい生活があってこそ、病気で苦しんでいる人を始めて笑顔にすることができる看護師になれるのです。
素晴らしい看護師の資格を良い方向に活かして、自分の心や体も大切にできる病院を見つけて笑顔を取り戻しましょう。この次働く病院には、再びブラック病院を選んでしまわないようにする方法を紹介します!
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求人広告でブラック病院を見分ける
ブラック病院かどうかを見分けるのは、実際に働いてみないとわからないと思っていませんか?実は求人広告に目を通しただけでも、ブラック病院の要素はしっかりと読み取ることができます。
仕事を探しているときは、給与や休日などの労働条件にばかり目が行きやすいのですが、ブラック病院の要素はもっと違うところをチェックしておく必要があるので覚えておきましょう。
同じ求人を頻繁に見る
ブラック病院を見分けるときの基本中の基本とも言えるのが、常に求人を出している病院です。いくら求人を出しても人が定着せずに辞めてしまうからです。一見給与や待遇が良さそうに見える条件がそろっているのにちっとも人が定着しない。
これは、看護師に限らず営業職などにも言えることです。安い固定給にバカ高い歩合給がのせられた条件だけを見て、それなりに応募はあったとしても、実際に入ってみるととても働き続けられない環境になっています。
特に、掲載料金の高額な大手の求人広告の常連になってしまっている病院には要注意です!
慢性的な人事不足は働いている人の意欲を欠き、勤務態度も勤務環境も荒れる一方の悪循環が起きます。それでは新しい人材は定着しません。結果として求人情報が出ずっぱりになってしまいます。
なぜかパート勤務の募集ばかりである
看護師募集のときに、なぜかパートばかりを募集している求人広告があります。パートといえば勤務時間が短いイメージがありますが、実は労働上限時間は社員と変わりはありません。
しかし、扶養の範囲内などで働きたい看護師などがパートで入るケースも多く、そうなると短時間勤務がほとんどです。すると、社員を募集するよりも手当などのコストを低く抑えられるメリットが病院側に発生します。
そのため細切れの時間に働いてくれるパート看護師を大量募集しているのは、ブラック病院の可能性が高いと言えるでしょう。
しかし、日勤だけの看護師で回すことのできる部署の拡大や業務を円滑に回すための増員として追加でパートを多く募集している場合は、一概にブラック病院とは言えません。
経験者「優遇」ではなく 経験者「限定」の求人
病院の求人広告の経験者の欄が、「優遇」を通り越して「限定」となっている場合は、要注意です。なぜなら絶対に経験者でしか業務を回せない忙しさのため、即戦力しか必要ない証拠だからです。
その原因は、新人を育てる時間と人材の余裕がまったくないことにあります。そもそも始めから、教育のための制度すらきちんと整っていない可能性もあるのです。
経験の浅い看護師が入ってきてもきちんと教育できないので、仕事を覚えられずに定着することができません。そしてまた経験者限定の求人を出し続けるという悪循環が続きます。
病院内の見学でブラック病院を見分ける
看護師が転職するときには、病院内を見学させてもらうこともおすすめです。実際に病院が稼働している時間に、どのようにして仕事が行われているのかを直接自分の目で確認することで、ブラック病院かどうかをさらに見極めることができるでしょう。
前もって見学を申し入れるほか、面接の機会に見学してよいかどうかを確認してみてください。
掃除や整理整頓はしっかりとされているか
散らかった部屋では落ち着いて作業や勉強ができないように、病院の中にホコリがふわふわ舞っていたり、カルテなどの書類も全然整理されていなかったりすると、まともな業務はできません。ブラック病院だと判断してよいでしょう。
病院には免疫力の落ちた患者が多数やってくるのに、衛生管理ができていないのは言語道断です。でもブラック病院には、そもそも掃除している時間がないのです。そして汚れて散らかっている環境は、さらに仕事への意欲も欠いてしまいます。
これは、病院施設そのものの新しさには関係ありませんので、自分の目でしっかりチェックして見分けましょう。
看護師の服装や言動は問題ないか
白衣に清潔感がなく薄汚れていたり、明るすぎる茶髪、派手なメイクやネイルをしていたりするなど、あきらかに医療従事者として外れている看護師がいる病院はブラックです。
昔より看護師のメイクやヘアカラーが自由になってはいるものの、度が過ぎていても注意する人もいないのは問題です。スッピンでも明らかに顔色が悪過ぎたり、だらしない外見だったりするのも忙しすぎる証拠です。
院内説明でのやる気がない表情や、言葉尻にトゲがあるなど言動に問題がある場合もブラック病院の可能性が高まります。
通常どんな職場でも、見学者には好感をもって欲しいものです。しかし、日々劣悪な環境で不満だらけで仕事をしていると、自分のことで精いっぱいで「説明なんて面倒くさい」などと、まともな対応ができなくなってしまうでしょう。
給与などの条件面だけで釣られてしまわない最大の決め手になるのが、現場で仕事している人の言動や態度だと言っても過言ではありません。
年齢層をしっかりと確認する
働いている看護師の年齢層にも注目してください。看護師は女性が多い業種のため、妊娠や出産、結婚などのライフステージの変化のなかで若い層から年配者までが「幅広く程よくバラつきがありながら勤務している」のが通常の状態です。
しかし年齢層の高い看護師ばかりが働いているとしたら、若い看護師が入ってきてもあえて壁を作り教育を放棄するなどして、最初から受け入れない態度をしている可能性があります。
ベテラン看護師がどっしりと居座っているのでは、いつまでたっても若い人は定着しません。いわゆるお局を頂点とした、理不尽極まりない世界に飛び込まなければならないでしょう。
逆に若い看護師ばかりの病院は、年配の看護師では務まらないような、過酷な体力勝負の現場なのかもしれません。そんな若い看護師ばかりの環境だけど、すぐに辞めてメンバーが入れ替わっているならば…さらにブラック病院ということになります。
面接時でブラック病院を見分ける
求人広告や院内見学もブラック病院の見極めには役立ちますが、意外にその病院の「素」の部分がハッキリしてくるのが面接時です。
面接ではうわべを取り繕っていて、わかりにくいのではないかと思うかもしれませんが、病院で働く人の細かな様子がよくわかるチャンスでもあります。面接時にブラック病院かどうかをしっかり見分けるためのポイントを紹介します。
高い給料をアピールしたがる
面接の場になったとたん、求人広告よりも異様に高い給与額を提示されることがあります。「特別待遇で…」などという甘い言葉に騙されないように気を付けなければなりません。
高過ぎる給与を支払ってでも、すぐに来てもらわなければならないほど看護師が不足していて危機的状態にあるからです。金額だけに魅力を感じて働き始めたら、休みはおろか休憩すらない超ブラック病院だった!ということがあります。
またその逆に広告では高い給与額を提示しているのに、フタをあけてみれば酷く低い基本給だったというケースもあります。低い基本給になぞの諸手当が組み合わされた高給のブラック病院はさらに悪質です。
ボーナスや昇給額は基本給をベースに算出されるものなので、なぜか働き続けてもちっとも収入が増えないという最悪の結果につながってしまいます。目先の高給をぶらさげてくるのもブラック病院の特徴なのです。
勤務体制と休暇休日が求人情報と悪い意味で違う
求人広告の情報を見て面接に挑んでも、実際の勤務体制や休日の日数が全然違うのがブラック病院です。面接を進めていくうちに、具体的な残業時間について質問してみましょう。
面接官が言葉を濁したり目をそらす、うつむいたりしてしまうのは明らかにブラックな証拠です。また有給休暇が記載してあっても、実際の有給休暇消化率は四割以下なんていうことが普通にあるからです。
しっかりと勤務体制や休日、残業について質問し、求人広告とのズレや現場での実情について読み取ることが大切になります。
面接官の態度
面接で好感を持ってもらおうとするのは、面接を受ける側だけでなく採用する側も同じです。是非働いてほしいという気持ちを表現するのが礼儀でしょう。
しかし、なかなか人が定着しないブラック病院の面接官は、その態度にもブラック感がにじみ出ている可能性があります。身だしなみや面接を開始する態度が、あきらかにやる気のない投げやりな対応になっているなら、即答で断ってもよいブラック病院です。
しかし逆に、この好感を持ってもらおうという態度が行き過ぎてしまうこともブラック病院の面接官にはあるようです。やたらとフレンドリー過ぎる態度で話しかけてきて「まぁ、気楽に働きにきてよ。給料多めに出すよ」などと言うのは要注意です。
つまり、定着しない人事に嫌気がさしてすっかり腐った態度になってしまっているか、なんとか取り入って好感を持ってもらい、ブラック病院で働かすことさえできれば良いという態度の二つに分かれるととらえておくと良いでしょう。
これまで紹介してきたように求人広告や病院見学、面接官の態度までしっかりチェックしてブラック病院を見分けられれば、看護師の病院転職を成功させることがきっとできます。