さまざまな常識がくつがえっている現代では、会社にただ居るだけで年功序列のエスカレーター式で出世できる時代ではなくなりました。
気づけば、ずっと後から入社した若い社員に先を越されたり、途中から引き抜かれて入ってきたりした人が、すぐに上司になっていたなどということが大いにあるからです。
それでもいつの世も会社で出世する人には、ある共通した特徴がみられます。
ということは、その特徴をしっかりととらえて自分のものにすれば、出世できるチャンスが大きくなるということになります。
どんなタイプの人が、多くの人の中から抜きんでて出世することができるのか、具体的にどのようにすればよいのかについて解説します。
出世する人にはどんな特徴があるの?
出世というとさまざまな手を尽くして、まわりの人を蹴落としてでも自分だけが上に行く…。というイメージを持つ人も多いかもしれません。
あるいは、ほかの人にはない特別な才能があるとか、人一倍努力家であるとかでしょうか。
もちろん、これらはあながち間違いではありません。しかし出世する人には「人間力」が一番大切です。仕事の能力だけでなく人としての能力です。
具体的にはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
我慢や忍耐力
会社生活をしていると、毎日が我慢と忍耐の連続だと感じたことのある人は多いでしょう。
理不尽なことばかり起こって、いつも大変だという人もいるかもしれません。
しかし、あまりにも我慢と忍耐の力がなさすぎるとすぐに仕事を辞めてしまい、職を転々とするという結果につながってしまいます。
そうなると、所属している会社で出世できる可能性はすっかり断たれてしまいます。
つまり、会社を辞めずに、時に我慢しながらずっと通勤し続ける忍耐力がある人…。勤続年数の長い人は、出世しやすい人の条件の一つにあてはまると言えるのです。
そして何年もその会社に勤務し続けたということは、会社の良いところも悪いところも自分の目で見て、体験してきたという強みがあります。
少ない年数しか勤務していない人には、得られない重要な情報を知っている、そしてそれを共に乗り越えてくれた大切な社員として、「上司は見ている」のです。
信念や目的を持って仕事を挑む
自分の信念をしっかりと持っている人は、出世しやすいと言われています。
仕事に対して誰よりも真剣で目的を明確にしながら働いているので、強気です。
これは見た目ではなく、一見ソフトな人でも内側にしっかりと信念とともに「向上心」も持っているという意味からの強さです。自分軸で行動でき、指示待ち人間とは真逆になります。
そのため時に厳しい言動になる場合もあり、率先して的確な指示を出せるので、そのモチベーションの高さが時にうとまれ、同僚に嫌われてしまうこともあります。
しかし、それは上司の目を意識して「どのようにみんなに動いてほしいのか、目的を遂げるためには部下たちにどう働いてもらったら良いのか」をチェックしているからなのです。
また、ほかの人は失敗を恐れて手を出せないプロジェクトにも取り組んだり、周りから反対されても説得して人を動かしたりする力を持っているという特徴もあります。
嫌われても良い、と周りの目を気にしないでいられる行動力と「鈍感力」を持っているのです。
聞き上手で目の前の人を大切に思う
仕事をしていくうえで、コミュニケーション能力というのはとても重要です。
コミュニケーションというと人を引き付ける力のある、話し上手な人を思い浮かべることが多いですが、話し上手であることよりももっと大切なのが、人の話を聞く力です。
つまり聞き上手な人は、自分の意見を押し付けるのではなく、まず相手の話を聞いて承認することから始めます。そのため話し手は嬉しくなり、饒舌になります。
人は自分の話を真剣に聞いてくれる人に対しては、好意的な感情を持つことが多く、聞き上手のはずが「なんて話をするのがうまい人」なのだろうという錯覚すら引き起こさせることができると言われています。
上司や部下、取引先の人からも、どんどん会話を引き出す能力に長けているので「気づいたら多くのことを語ってしまっていた」ということに…。
これはビジネスにおいても多くのチャンスやメリットを得られるスキルの一つと言えるでしょう。
会話を引き出す話の聞き方
バックトラッキング法というテクニックを使います。
簡単に言うと相手が会話で話した言葉を繰り返す、いわば「オウム返し」です。一例をあげてみましょう。
部下:「ライブでジャズを聴きに行かれたんですね。」
上司:「うん、昔はよく聴きに行ってたよ、やっぱり生演奏はいいね」
部下:「昔はよく聴きに行っていらしたんですね、生演奏だとやっぱり違うんですね!」
上司:「日常を忘れる空間だよ。仕事の疲れも軽くなるんだ。今度君も一緒にどうかね?」
部下:「ありがとうございます!ぜひご一緒させてください」
と言った具合です。通常「●●に行った」などと聞くと「どうだったんですか?」などすぐに答えを求めてしまいがちです。
それならまだましで、「はぁ…」とか「ふぅん…」という相槌だけの人がいます。それでは会話は一往復で終了してしまいます。くれぐれも「話の聞き方」には、注意しましょう。
話の聞き方が上手なだけで、立場がずっと上の人や思いがけない人と距離を縮めやすいのです。
職場の人間に一緒に仕事をしたいと思われる
職場に多くの社員がいても「あの人と一緒に仕事がしたいな」と思わせる人がいます。学歴や仕事のスキルだけでなく、人間的に魅力のある人です。
どんな仕事にも前向きに取り組む姿勢や、うまくいかない時にも腐らずにフラットな態度で乗り越えようとするなど、一緒に仕事することで自分自身も高められていくように感じられる存在です。そのため同僚はもちろん、上司や部下にも頼られる存在ということになります。
仕事をすることを考えた時に真っ先に思い浮かべてもらえる存在になるということは、出世する人の条件ということが言えるのです。
職場の多くの人がそう感じる存在になると、上司は放っておきません。
一社員として一般的な部下として置いておくのはもったいない、自分の側にいてほしいと願うようになります。
上司は出世に欠かせない大切なキーパーソンです。
人を説得させる話し方や人に好かれる話し方ができる
出世して多くの人の上に立つ立場になると、人前で話しをしなければならない場面が必ずやってきます。
その際、あまりに下品な言い回しや拙い話し方、おどおどとして声がまったく通らない…などつまり話し方のスキルが低いと、かなりマイナスです。
自分よりも目上の人や立場が上の人の前でも動じないで話せることはもちろん、分かりやすく綺麗な話し方ができると、聞く人は引き込まれてしまいます。
話し方のスキルは、場数を踏むことでも身についていくため、普段からしっかりと人前で発言することに慣れておく必要があります。
そして、話し方が綺麗で上手なだけでなく、必要な時には反論をして自分の意見を伝え、説得しなければなりません。
その説得力を磨くためには、口先だけではなく確かなデータに基づいた理論などをさまざまな文献や論文からしっかりと調べ上げる必要性もでてきます。
つまり日々勉強しつづけて新しい情報をインプットし、多くの人を説得できるように上手にアウトプットしていかなければならないのです。
日々元気で人を魅了する
出世する人は基本的に元気です。特にメンタルの面でいつも安定し、気分や機嫌で周りに当たり散らすことなどは絶対にしません。
声などは大きく通る人が多いですが、優しい穏やかな雰囲気であっても芯はとてもタフです。穏やかな笑顔が定番で口角が上がり、笑う時には目からちゃんと笑っています。
あんなふうにありたいなぁ…というそのひとの「在り方」が周りの人々を魅了します。
そして部下から慕われ、上司から信頼を得続けるには、休まず遅れず出社し、安定した心の持ち主であることは言うまでもないでしょう。つまり基本的に「元気」があるのです。
仕事ができる
「この分野のことなら、●●さんに任せておけば大丈夫。」といったような専門性の高い仕事のできる人は、出世につながる可能性が高くなります。
多くの人が身に着けるスキルとは違うものを持っている強みは、会社にとってとても貴重で「ほかの会社には絶対にこの人を渡したくない!」というプレミアム感が生まれるからです。
しかし、まるで職人のようにこだわってしまい、その仕事のペースやとりかかっていく過程などが自分勝手すぎる場合は、まわりの足を引っ張る存在となり逆効果になります。
会社組織では納期を守ることや、適切な時間管理も重要になります。専門的かつ仕事のスピードが速いとなれば、その人はほとんど無敵状態であると言えるのです。
>>仕事を早く終わらせるコツは?仕事が遅いのは迷惑、サービス残業は嫌ですよね
一言で言ってしまえば「仕事ができる人」ということになります。
人との調和や人の上に立てる
話を聞くのがうまく、メンタルがフラットで、専門分野に長けて仕事もスピーディーとなれば、かなり出世への道に近づいたと言えるでしょう。
しかしそのやり方がロボットのように機械的な人というのがいます。マニュアルだけで動いているのと同じになってしまうので、いくら業績が優れていても、人の上に立って動かすという立場にまでは到達できません。
人と人が仕事を円滑にやっていくための、協調性と謙虚さを持っていることが出世するためには大切です。
難しい仕事やみんながピリピリしながらこなす必要のある仕事の場面では、時に厳しい口調になることがあるものです。それは立場が上であっても下であってもです。
出世してやがて「人の上に立つ」人は、このピリピリとした状況に飲まれずに次のような対処をします。
あたたかみのあるフォローを忘れない
謙虚さを持っていることは、出世する人に欠かせない条件です。
部下に「ありがとう。今回はみんなのおかげで助かったよ。引き続きよろしく頼むよ」という言葉を忘れません。また、部下も上司に「とても勉強になりました。さらに邁進してまいります」など感謝の気持ちを忘れないのです。
このようなアフターフォローは、お互いの心のメンテナンスにもなります。
そうなると部下は「この人について行こう」という気持ちを持ちます。
上司からは「なかなか骨のあるやつだ、この次はもっと重要なポストを任せてみよう」となり、「リーダー」としてのポジションを与えようと考えるようになるのです。
そんな良好なつながりは社内に味方を増やし、社外にもさまざまな有益な人間関係が広まっていくということにつながるのです。
健康管理
出世する人は自己管理がしっかりしています。
飲み会で3次会まで付き合い、ボロボロになって目つきはもうろうとして酒臭い息で出社するなどということもありません。
1次会で帰ることも多く、仕事のためにベストな体調をキープするのです。
もちろん上司からの誘いで2次会について行くことは多々ありますが、次の日にその疲れを顔に出さない強い体と心を持っています。
そのためには、普段から腹八分目を心がけ血糖値のコントロールには特に敏感です。
体質にもよりますが、お腹いっぱい食べて過ぎてしまうと「会議中に寝落ち」してしまうという失態を起こしかねないからです。
またどこにでも出向いて情報を集める、どこにでも出向く行動力を発揮できる体力作りにも余念がありません。
モチベーションを上げるために筋力トレーニングの習慣を持っている人も多く、健康がさらに促進されていくのです。
オンオフの切り替えがうまい
出世しやすい人は、芯が強くてブレ知らず、タフで行動力がある…こうなると休む暇もなく働き続けている「仕事人間」の印象で受け止められるかもしれません。
しかし、しょっちゅう家に仕事を持ち帰っていて、仕事とプライベートの境目がなくなっている…という人は要注意です。
出世する人は健康管理も含めて自分のことを管理できる人であり、休みにはしっかりと休みます。
仕事する時は仕事をきちんとするけれど、遊ぶ時はおもいっきり遊べる「オンとオフの切り替え」が上手な人なのです。
オフでしっかりと充電して鋭気を養っているので、休んだ分パワーアップして仕事に戻ることができます。
効率も業績もアップするので、出世のチャンスがさらに近づくのです。
出世する女性、昇進する女性の特徴
女性の経営者や社長などが珍しい時代ではなくなりました。
男性が多い職場にいても誰よりも先に出世したり、昇進したりする女性もいるのです。
そんな出世や昇進できる女性にはどんな特徴があるのでしょうか。
気力・体力がある
どんな仕事でも休まず出社できていることは基本中の基本です。
女性はどうしても体力的に男性に劣る部分もあり、妊娠&出産などをきっかけに退社する人も少なくありません。
しかし、出世する女性というのは男性顔負けの人並み外れた気力・体力の持ち主であることも多いのです。
産後に復帰してからメキメキ頭角を現す人もいるほどです。
そして仕事に対して前向きにとらえるので失敗してもめげません。
気力が満ちている証拠です。メンタルの強さの面では女性が勝っているという意見も多く聞かれます。
体力という点では、もともとの素質もありますが、残業や仕事量の変化、イレギュラーな業務が追加されても疲れを見せずに、タフに取り組める「元気な人」が出世しやすいということです。
清潔感がありさわやかで美しい
出世する女性は、忙しくても身だしなみやメイクなどに女性らしい清潔感があります。オフィスという環境では強すぎる香水や華美な装飾は必要ありません。
しかし、会社は人と人とのつながりで仕事や経済を循環させているため、
いつも家にいて社会とかかわりの少ない女性よりも、会社生活をしている女性のほうが、どこか凛として引き締まった表情をしているのは、社会に出ていて他人の目を意識している影響からでしょう。
髪を振り乱してがむしゃらに頑張っているというのを見せない毅然とした魅力に満ち、時に殺気立った社内の状態を緩和させ、交渉事を潤滑に進めるパワーを発揮することもあるのです。
そうなったとき、上司から会社の顔として前面に出てほしいと評価されることも多くなり、結果として出世につながるのです。
感情のコントロールが上手
男性脳・女性脳などという言われますが、女性脳は同時に複数のタスクをこなすことができたり、他人の細かい変化に気づいたりして取引先相手を喜ばせることができるなどのメリットがあると言われています。
しかしその反面、男性に比べて人間関係やプライベートで感情を揺さぶられる出来事があると精神的に不安定になりやすく、仕事にも影響が出やすいというデメリットがあります。
出世する女性は、そんな女性の持つマイナス面に流されてしまわないように、ストレス対策や気分転換などを自分のやり方で工夫しています。
つまり感情のコントロールに成功している女性は、仕事での能力をさらに伸ばしていけるので、出世する可能性が高いのです。
エイジレスな女性
女性が出世して上の立場になるということは、年齢に振り回されない女性であることも大切な条件です。
人前に出て話をすることも増え、自分の話し方や表情、外見的なおしゃれなども時代に合わせて見直していきます。
そのため、「あの人いったい年齢はいくつだったか?」と周りの人が不思議に感じるほど年を感じさせません。
若作りというのとは違って、生き生きと自分の目標に邁進しているので、エイジレスな輝きに包まれています。
出世する女性は、「もう歳だし…、若い子にはかなわない」などというセリフとも無縁です。
それどころか、若い同僚とも普通に会話をして大爆笑して盛り上がれる、明るい可愛らしさも持ち合わせています。
出世する人としない人の違いとは?
多くの人が働いて生きていますが、出世して人の上に立ち、責任ある立場になって収入も増えていく人と、出世をしないで終わる人がいます。
そんな人の違いについて見てみましょう。
そもそも出世に興味がない
会社に入ってもずっと平社員でいいと考える人も増えています。つまり出世自体に興味がない人です。
多くの収入も要らず、とにかく重い責任を課せられるのは、絶対に嫌だと考える人は出世することはむしろ地獄の環境に身を置くということになるのです。
お酒もたばこも飲まず、車や女性にも興味がない、いわゆる草食系のゆとり世代にこのような傾向が多くみられます。
結婚などもしないので、自分ひとりで生活するだけの収入があればよいと考える人は出世とは縁がありません。
仕事が長続きしない
最初は与えられた仕事をこなしていくのが会社生活ではありますが、意欲をもって取り組み、自分の意見や提案ができるようになるのは、ある程度の年数を経てのことです。
その間には乗り越えるべき課題も多く、中には耐えられずに諦めてしまうタイプの人もいます。
そういった理由から、すぐに仕事を辞めてしまう人は、会社での出世はまず難しいでしょう。
八方美人な人
出世するということは、ある意味嫌われ役になることを覚悟するということでもあります。
だれからも良く思われたい、上司にも同僚にも絶対に嫌われたくないという人には、出世はできません。
人と人とがぶつかり合いながら大きな仕事を成し遂げているのが世の中です。
小さなトラブルや傷つくことを恐れて、八方美人を演じているひとは人の上に立つ立場には向いていません。
出世する人は性格悪いの?
さいごに出世する人の性格についてですが、性格がよいか悪いかというと世間一般で言われているステレオタイプの性格のよさには、当てはまらないかもしれないと言えるでしょう。
つまり出世する人はあまり「自分が性格がよいと思われるかどうか」を気にしておらず、仕事に情熱が湧き、出世という目標を持ったとき、周りの目は気にせずに邁進しているだけという場合がほとんどです。
時にその様子が「他人を蹴落としてまで…。性格が悪いのではないか」とみられることはあるでしょう。
しかし、それはそのように見ている人が自分にふさわしくない環境に身を置いているせいだとも言えます。
他人の性格うんぬんで批判したくなる、他人の出世が納得できない環境…。
つまり会社が合っていない、つまり自分に適合した仕事に出会えていないという証拠でもあります。
出世を考えたくなるような仕事に出会う、あるいは何か自分で仕事を始めてみたいと思えるきっかけ探し、始めてみませんか?