仕事を持つ女性が結婚し、やがて子供が生まれたその後には、「2つの自分の働き方」という問題に直面することがあります。
それは「正社員としての会社での働き方」「家事をこなし、育児をする主婦としての働き方」ですが、これらの両立って言葉には言い表せないほど大変ですね。
そのため「正社員として働くのはちょっと無理かも。でも仕事は続けたい…。だったらパートはどうだろう」なんて考える方も少なくないようです。
確かに主婦業と仕事を両立させることについては、パートになることも一つの選択ですね。
しかし、パートへの道に進むことはちょっと待ってください!実は正社員である今は見えていませんが、パートになってしまうと思いもよらないデメリットが潜んでいる場合があります。
今回は、正社員からパートになったときのデメリットをお伝えしていきますのでパートになることを選択して、あとから後悔する毎日を送らないためにもしっかりチェックしてみてください。
そのうえで、今後のあなたの働き方を考えても遅くはないと思います。
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自分一人で頑張ってると心身は疲弊する
「主婦業も仕事も完璧に!」と自分一人で頑張っていると、心身は疲弊していきます。あなたの身体は一つしかないのに、一日の中で「自分の仕事」として携わっていることが多すぎるからです。
職場ではフルタイムの正社員、家庭では家事や子育てを一人で(または、ほぼ一人で)頑張っている。このような方の多くは順番の前後があるにしても、以下のような流れで1日が終わるのではないでしょうか。
・起床後、家族の朝食や自分の出社の準備
・子供を保育園へ送る準備をして、お見送りまたは送りに行く
・出社後の正社員としての責任を持った仕事
・退社
・保育園へのお迎え
・帰宅して夕食の準備
・夕食
・子供とのコミュニケーションタイム
・入浴
・就寝
なかなかのハードスケジュールですが、やることはこれだけではありませんね。このスケジュールの中には掃除、洗濯、買い物も入ってきますし、電話代や光熱費などの支払い準備もあります。保育園や学校からの連絡チェックも必要です。
また、小さなお子さんは急な病気になることも少なくありません。すると保育園から「お熱が出ました」「怪我しました」「下痢または嘔吐を繰り返しています」などのお迎え要請の電話が。
そうなると、次のような2つの感情が心の中をうごめき、つらさは倍増するものです。
・日ごろ、子供とずっと一緒にいてあげられないつらさや自分への責めの気持ち
・責任のある仕事を置いて出るという、ほかの人に対しての後ろめたさ
(ときには「子供がいると大変だからね~」なんて嫌味や心無いことをネチネチと言われることもありますので、その対応に余計な疲れを感じますね)
さらにはそうしたつらさや疲れにより、正社員としての仕事に支障が出てしまい、これまでしたことのなかったミスを頻発させることにもなりかねません。すると「慣れている仕事のはずなのに…」と自分は落ち込みますし、周りからの理解が得られないまま居心地の悪い状態が続くことも。
家事、育児、仕事。これらのいずれか一つが忙しいだけならそこに全力を注ぎ、残った時間があればそこで休息を取ることができます。しかし満足な休息もなく、3つすべてを一人で頑張っていれば、心身が疲れを感じないわけはありません。
結果的には「私は私で必死に頑張ってきたけど、もう一人で頑張るのは疲れた…」という状態に。「せめて夫がもう少し手伝ってくれたら…」と相談するも、夫は「家事、育児は基本的に女性の仕事」という考え。これでは解決の糸口が見えてきませんね。
正社員からパート(バイト)になるデメリット
「家事に、育児に、仕事にと、このままいけば自分が倒れてしまうかもしれないし、最悪の場合にはうつ状態を引き起こしそう…」
このように感じたとき、夫との相談の結果、パートになる道を考える方が少なくありません。とはいえ、パートには思いがけないデメリットが主に4つあります。
ここではそのデメリットについて、見ていきましょう。
減給
正社員からパートになると、減給という大きなデメリットがあります。これはパートと正社員との間に給与体系の違いがあるからです。
パートの給与体系はほとんどの場合、時給または日給です。しかもパートは一つの会社で雇用される時間が正社員と比べると、短い短時間労働者。そのため給与は「労働時間×パートの時給=パートになった場合の受け取り給与」になります。
一方正社員の場合、基本的には固定給で月収です。職種により月収の違いはあり、もしかしたらパートになった場合の給与との差にあまり違いはないかもしれません。
ただ、年間を通して考えてみるとどうでしょう。正社員にはボーナスがあります。支給額の計算の仕方は企業によって違いますが、基本的には夏と冬の2回に支給されます。
このボーナスの有無で出来る差は大きいですね。
パートでも寸志という形で支給されるところがありますが、ほとんどの企業ではボーナスほどの金額で支給されることは期待できません。
そのためこれまで正社員として働いた女性には、今まで自分で稼いだお金があったことで得られていた安心感や自信を失わせてしまうことにもなりかねません。
また、自分の月収やボーナスを、毎日の生活費以外の支払いに充てていたという方も多いと思います。例えば住宅や自動車のローン、お子さんの教育費、貯金などにはそのような使い方をしていたのではないでしょうか。なかには夫に内緒で自分へのご褒美に購入したもののクレジットの返済がある方もいるのでは?
これらの支払いは、これまでと同じような形を取ることは難しくなりますので、夫に頑張ってもらわなければなりません。ということは、減給というデメリットは、夫への負い目や自由にお金を使えないというストレスの原因を作ることになるとも考えられます。
難しいことですが、正社員からパートになる場合、このような可能性があるということを前提に、話を進める必要があります。
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社会や会社(職場)での立場は「正社員>派遣社員>バイト」である
正社員からパートになると、自分の立ち位置が変わり、これまでより下になるというデメリットがあります。これはパートの雇用形態が主な原因として挙げられます。
パートも正社員も会社に直接雇用されている労働者。本来ならお互いの立場に差があることは好ましくありません。
ただ、正社員の場合には労働契約上、雇用される期間についての規定がありませんので、一般的には安定性のある雇用として見られます。
一方パートは雇用契約が正社員よりも短時間であり、雇用は更新という形態がほとんどのため、安定性がありません。
そのため正社員であれば責任があり、やりがいの感じられる仕事を回してもらうことが期待できます。しかし、パートであれば、ほとんど責任を感じることのない簡単な仕事やほかの人の仕事のヘルプということが少なくありません。会社の期待値も下がりがちです。
つまり社会や職場での立場を考えると、パートはほかの人よりも下に見られがちということになるわけです。
では、育児、家事、仕事のすべてをこなすために正社員からパートになった方が、このような状況になった場合どうでしょう。
以前会社の戦力として、なくてはならない存在だった方であればあるほど、パートとしての立場には自分の価値がなくなったように感じられる方が多いのでは?
とはいえ、育児や家事を頑張りながら働く場合、気持ちの良い緊張感や充実感を覚えられるようなやりがいのある仕事をすることは困難ですね。
それならば、パートという選択ではなく、派遣社員という選択もありではないでしょうか。
仕事へのやりがいや充実感がすべて解決するというわけではありませんが、派遣社員なら今のライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことができます。それに派遣会社が会社とあなたの間に立ってくれますので、こちらの希望する条件で働ける可能性が高くなります。
今後の働き方を決める場合、このような方法も一つの選択として考えてみると良いですね。
>>正社員より派遣社員はどっちがいい?派遣社員で働くメリット
福利厚生や年金の問題
正社員からパートになると、福利厚生が受けられなくなったり、年金額が減少したりなどの問題が出てきます。これはパートの労働時間や雇用条件が影響します。
福利厚生には大きく分けて、法定福利と法定外福利の2種類がありますが、重要視したいのは法定福利。その中でも健康保険、厚生年金保険などの社会保険のことを考える必要があります。
これらはパートであっても、国が定めている労働時間や、雇用条件を満たしていれば加入することができますが、加入すると保険料は会社と折半です。
つまり会社側では経費が掛かりますし、働く側では毎月の手取り額が減るというデメリットになるわけです。そのため社会保険の加入については、どちらにとっても好ましくない状況になるとも言えます。
ただ、社会保険のメリットとしては、けがや病気で長期間仕事を休まなければならないときに、受給可能な傷病手当金というものがあります。
さらに社会保険のメリットとして何より知っておきたいことでは、厚生年金保険加入ということがあります。(社会保険に加入していれば、厚生年金保険にも加入しているということになります)
これは、あなた自身が自分で働いた証として、将来的に受け取る予定の年金額が増えるということを意味します。
そのため今後の働き方を検討する場合、社会保険のメリットデメリットを踏まえたうえで、夫とよく相談することが大切です。
人間関係の問題
正社員からパートになると、人間関係の問題が悩みとなる可能性があります。これはパートとして働くうえで、あなたの気持ちの持ち方が重要になってきます。
正社員からパートに切り替えるとき、多くの方は以前の会社でその形を取ることになるでしょう。
この場合、今は自分がパートとしてここにいるということを忘れてはなりません。
・以前のような大切な仕事が回ってくることはほとんどない
・回ってきた仕事は元部下たちのヘルプ作業
このような状態になっても仕事に対してモチベーションを落とさないようにすることや、以前の立場からの発言をしないということが大切です。
モチベーションが落ちてしまうと「○○さんってやる気がないよね」「パートだから気を抜いているんじゃない」などと言われることがあるかもしれません。
また、つい以前の立場で発言をしてしまうと「自分がパートだってわかってないんじゃない」「以前のような感覚で自分たちにいろいろ言われても…ね」などのように言われることも考えられます。
確かに以前は自分も正社員として頑張ってきた仕事ですが、今はパートという立場で職場にいるわけですから、ある程度自分の中で割り切ることが、社内での良い人間関係を保つコツです。
また、人によってはこれまでとは違う会社でパートとして働くことを選択することもあるでしょう。
この場合にも、以前の会社で働くことと同様、周りの人たちとの関係をうまく保ちながら仕事をこなすことが大切です。
特に元々仕事ができる方は、周囲の仕事のやり方に粗が見えることもあるでしょう。
しかしここはあくまでも、ヘルプ的な立場として許された範囲を考えながら動くことが人間関係に悩まずに働くコツになります。
ただ、自分を抑えてばかりいては、ストレスがたまる可能性もありますね。なので、たまには夫や気の許せる友人などに職場での話を聞いてもらってストレスを発散させることも大切です。
正社員からパート(バイト)になるメリットは?
正社員からパートになることは、数々のデメリットがありますが、その一方でメリットもあります。
・自分と同じようなママ友との出会いがあった
お互いに理解しあえて、良い相談相手にも恵まれたということになります。
・パートになったことで仕事への取り組み方に新しい発見があった
これまで見えなかったことが見えて、将来的な働き方に生かすことが可能です。
・余裕のある時間が取れるようになり、精神的に楽になった
笑顔でいられる時間が増えて、家庭内での時間も楽しめるようになります。
・子供とのコミュニケーションタイムがより充実してきた
子供が小さなときでしか見ることのできない、または経験することができない時間が増えて子育てへの喜びや充実感がより一層得られます。
・夫とのコミュニケーションタイムが増えた
夫との会話が増えることで、家庭内での幸福感がより一層高まります。
これらのようなことが、正社員からパートになることのメリットとして挙げられますので、パートとして働くことが好ましくないとは一概には言えませんね。
ただ、これらのメリットがあるにしても、充実感のある仕事への魅力を考えると、パートとして働くことには物足りなさを感じる方が少なくありません。
まとめ
正社員からパートになったときのデメリットを中心にお伝えしましたが、メリットとデメリットを踏まえたうえで、改めて正社員からパートになるという選択はどう思われますか?
近年、女性の社会進出は目覚ましく、女性の活躍推進を積極的に進める企業も少なくありません。実務経験があり、優れた仕事力を持っている女性は、多くの場所でその力を発揮することを求められているわけです。
しかし、現実的にはそんな女性が育児や家事に追われ、優れた能力を埋もれさせてしまっている可能性があります。主婦業も頑張ったうえで、これまでのキャリアを活かして働きたいと考えている女性はあふれるほどいるのに、それが実現できていない方が多いということです。
では、どんな状況がそのような現象を作り上げているのかと言えば、多くは正社員からパートへ移行した場合に見られます。これは、すでにお伝えした正社員からパートになったときのデメリットを挙げてみれば頷けますね。
とはいえ、今の段階では正社員として働くことは難しい…となれば、今後の働き方として派遣社員になるという選択があります。
派遣社員は正規社員とは違いますので、パート同様不安定に感じられる方が多いでしょう。しかし派遣社員という働き方には多くのメリットがあり、パートで働くよりも好条件の働き方を目指すことはできます。
>>正社員より派遣社員はどっちがいい?派遣社員で働くメリット