介護施設での料理作りからカフェのランチメニュー監修者に転身

管理栄養士をしています。かつては老人向けの介護施設で働いていたのですが、イロイロありまして、現在はオフィス街のカフェでランチメニュー監修者として仕事をしています。

比較的カタい職業である介護施設を辞め、カフェで働くという事はそれなりの覚悟が必要でした。けれど、仕事もずいぶん楽になりましたし、今のところかなり楽しんで仕事を続けられています。

そんな私の転職時の経験についてご紹介させていただきます。特殊な仕事から特殊な仕事への転職ですから、一般的に役立つ情報なのかはわかりません。けれど、ひょっとして誰かの役に立てば幸いです。

介護施設で料理作りは大変

管理栄養士として、介護施設で料理を担当しておりました。現在では転職し、ちょっとおしゃれなカフェでランチのメニューを提案+調理する仕事をしています。

なぜ転職しようと考えたのかと言いますと、介護施設で料理を担当するのはとにかく大変だったからです。ストレスが溜まるわりにお給料が良いワケでもなく…。おまけに仕事はハードです。どんな状況だったのか、その一部をご紹介したいと思います。

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メニューが思いつかない!

介護施設でまず大変だったのが日々のメニューを考えることです。食材を確保しなくてはなりませんし、ご家族の方にあらかじめお知らせしておかなくてはならないため、月の半ばには翌月のメニューを決める必要が出てきます。

けれどコレが大変で…。朝・昼・晩のメニューを30日分ですから、どうしてもネタが尽きてしまいます。若者向けであれば多少冒険的なメニューを出す事も可能ですが、老人相手ですとそうはゆきません。

刺激物は避け、食べにくいものも避け、そうなってくると煮物くらいしかなくなりますよね。とはいえ毎日煮物を出すというワケにもゆきません。また、材料費に、料理の手間に、栄養のバランスにと制約も多くあります。

一方で春には菜の花など、季節の食材を出してあげたいという思いもあるもの。様々な制約と少しでも美味しいものをという気持ちのバランスで、メニュー決定前にはご飯が食べられなくなるほどのストレスを感じていました。

料理担当者なのに、料理が食べられなくなるなんて本末転倒も良いところですよね。あまりのプレッシャーに耐え切れず、ついついやっつけでメニューを決めた事もありますが、結局は後で後悔するものです。

思わぬトラブルはつきもの!

メニューを決めて、食材の手配も済ませ、あとは料理を提供するだけのはずなのですが、そうは問屋が卸してくれません。調理の現場では何かとトラブルは発生するものです。例えば下処理済の食材だと思っていたものが、完全に生のままだったりしたことも…(これは発注した私のミスです)。

食事の時間は刻々と迫ってきますし、皆様を待たせるワケにはゆきません。調理の手順を大幅に見直して、休み時間も返上し、何とか料理を完成させた頃にはかなりぐったりとしてしまいます。調理担当者の皆様にも平謝りで、心もずいぶんすり減らしました。

現場のおばちゃんたちは皆良い人達で「気にしないで良いよ」とは言ってくれますが、気にしないというワケにはゆかないですよね。

イベント事の準備が大変!

何気に大変なのが各種イベントです。月に1人くらいは誰かのお誕生日です。そんな時にはちょっとしたパーティーを開くことになります。せっかくですから施設での生活を少しでも楽しんでもらいたいと、準備もしっかりと行います。

特別なメニューを作るのはもちろんですが、料理に添えるちょっとした飾りつけ(大したものではありませんが、結構喜ばれます)を前日までに作成しておく必要があります。折り紙に画用紙にと、私ってなんの仕事してるんだっけ…?と疑問に思う事もしばしばです。

他にも節分や、七夕、クリスマスなど(バレンタインデーはさすがに無かった)、何かあるたびにちょっとした別メニューと、ちょっとした飾りつけを担当しなくてはなりません。調理のスタッフはいるのですが、その他の作業は私一人での担当…。手は抜けないし、忙しいしで、結構なストレスです。

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まあ、おじいちゃん・おばあちゃんが喜んでくれれば、苦労もそれなりに吹き飛ぶんですけどね。

出会いが無い!

介護施設では平日休みの仕事でしたから、友人と時間が合わないというのも悩ましい問題でした。介護施設にいる男性と言えばおじいちゃんばっかりで、何せ出会いがありません。

30歳を目前にしたときに、そして結婚してゆく友人の姿を見るたびに、このままで良いの?という思いはふつふつと湧き上がってきました。

待遇はそんなに良くない…

ここまで書いてきた通り、介護施設で管理栄養士として働くことはかなりハードです。いくらハードでも給与が良ければ我慢のしようもあるかと思いますが、残念ながらそれほど良いワケではありません。

専門職とはいえ、手取りは同時期にサラリーマンになった友人に及びません。昇給という事もほとんど無く、新卒で採用されて以来、暮らしぶりが良くなるということも残念ながらありませんでした。その割に年次を重ねて仕事だけは忙しくなるのですからねぇ…。なんだかワリに合わないなと考えるに至ったのです。

思い切って転職を決意!

これから高齢化社会は進んでゆく一方ですし、そんな中で介護施設というのは割とカタい仕事だと思います。また大切な仕事であるというのも十分に理解しています。そこでの仕事を辞めることにそうとうの葛藤はありました。

けれど、そこで管理栄養士として料理を担当する事に耐えられなくなった私は思い切って転職を決意しました。けれど、一般企業に勤めた経験もありませんし、いったい何ができるだろうか…というのはかなり頭を悩ませた部分です。

管理栄養士の資格を使わずに働くという事も考えてみたのですが、給与や待遇の面からその路線は消えました。

そんな折、大学時代の友人のツテで紹介されたのが今の仕事です。ちょっとおしゃれなカフェでランチを提供する事になり、そこで管理栄養士を探しているというものです。何せ大学の友人はみんな管理栄養士ですから、そういった情報が周ってくるんです。

大学卒業以来、ずっと老人向けのメニューばかりを考えており、おしゃれな食事を作ることに飢えていた私としては願ってもない仕事です。手取りなどは下がってしまいますが、拘束時間などを考えますと、とても良い条件でした。

因みに、老人向けのメニューばかりを考えていますと日常にも影響が出てくるものです。食材は無意識のうちに小さく切ってしまいますし、やはり無意識のうちに柔らかく煮てしまいます。カロリーは控えめで、味付けは薄目です。家で両親に突っ込まれて、初めて気が付きました。

さて、話を戻しまして、カフェを経営している親会社の人事担当者と、カフェの店長を交えて面接です。これまでのキャリアを説明したところ、興味を持ってもらいました。

ランチタイムのターゲットは近隣で働く女性です。和食をベースに、ローカロリーで素材の味を活かすという介護施設での料理経験も評価されたようです。

私は友人のツテで偶然に新しい仕事を見つけることができましたが、本当にタイミングが良かったとしか言いようがありません。同じように管理栄養士としての転職を考えている人がいれば、常日頃からいろいろな情報を集めておくことをおすすめします。

>>20代におすすめする転職エージェント15選!転職エージェントを使って転職を成功させるための注意点

辞めることを施設に報告、じっくりと引継ぎ

さて、新しい職場を決めたのは良いのですが、仕事を辞めるのも大変です。何せ介護施設から管理栄養士が一人いなくなってしまうと、仕事への影響は絶大です。施設にいる皆様に料理を提供できないという状況は絶対に避けなくてはなりません。

その為、実際に仕事を辞めたのはそこから3ヵ月先の事でした。そうなることは次の職場(カフェ)にも伝えていたので、幸いに待ってもらう事ができました。

まずは人材の確保です。母校に連絡し、管理栄養士の募集をかけてもらったところ、幸いにして次の人はすぐに決まりました。子供が小学校に入り、少し余裕が出てきたので仕事に復帰したいという、大学の先輩にあたる人です。

そこからはとにかくしっかりと引継ぎ業務を行いました。メニューを決める作業も2人で行えばあっという間です(もう一人担当者がいればよかったのに…)。皆さんの味の好みや、好きな食材など、これまでメモしてきた情報も余す事なく伝えます。

しっかりと引継ぎを済ませ、いざ最後の出勤日、仲の良かったおじいちゃん・おばあちゃんが寂しがってくれたのが、かなりグッときましたね。けれど「結婚するんでしょう。おめでとうねぇ。」という言葉には何と返して良いやら複雑です…。いずれにしても、ちょっとセンチメンタルになりながら、新たな一歩を踏み出す事になりました。

実際に働いてみた結果

実際にカフェで働き始めて1年が経過しました。かなり楽しく日々を過ごしています。そんな私の現在について詳細に見てゆきたいと思います。

ヘルシーランチは好評、テイクアウトの提供も

幸いにしてランチメニューはご好評頂き、最近ではお弁当の提供も始まりました。それに伴って調理スタッフが増えるなど、それなりに順風満帆と言えるようです。

管理栄養士が健康をしっかりと意識したメニューというのはそれなりに需要があるようですね。

働き始めて意外だったのが、男性のお客さんも多いという事。メインのターゲットは女性に据えるという事でボリュームは控えめです。味付けもあっさりしており、サラダなど野菜の味を楽しむといった具合です。

けれどダイエットといったキーワードは男性にも刺さるようで。お弁当はいつもウチという常連さんもできつつあります。

目下の検討事項はご飯の大盛りを認めるか。男性客からの要望はあるのですが、オペレーションを考えると二の足を踏んでしまうんですよね。ランチは1種類のみ、税込1,000円という設定にして、オペレーションをかなり簡略化しているのですが、それが崩れてしまうのも考え物です。

ちなみに、オフィス街のお店ですからランチの提供は平日のみです。週末と祝日は完全にお休みになりました。友人と遊ぶ時間もできましたし、意外と来てくれる男性のお客さんとお話するのも楽しい時間です。運命的な出会いもきっと遠からぬ未来にあるはず!と仕事を楽しんでいます。

メニュー決めはかなり楽に

さて、介護施設では毎日のメニュー決めがとにかく大変というお話をしましたが、カフェでもやはり大変なんじゃないの?という疑問も聞こえてきそうなのでお答えしておきます。メニュー決めはかなり楽になりました。

なにせランチのみですから、そもそもの負担が全然違います。また介護施設のメニューですと魚の骨といった食材選びに始まり、味付けなどかなり細かな制約がつきものです。

カフェのメニューであれば、金銭的な制約とオペレーション的な制約はあるにせよ、それ以外の自由度はかなり増します。多少冒険的なメニューであってもOKですし(もちろんお客様を満足させる限りにおいてではありますが)、めずらしい食材も喜ばれます。

月曜日は焼き魚メイン、火曜日は鶏肉メインとパターン化できるのも仕事をかなり楽にしてくれました。

突如湧いてきた新たなオファー

最近仕事上、ちょっとした変化も起きそうです。というのも、私が働いているカフェは親会社があり、そこでは様々な業態の飲食店を営業しています。その本社スタッフとして働かないかというオファーが来たのです。

業務内容としては、複数店舗の新規メニュー開発に携わるというものです。現在でもそれ専門の部隊があるので、その一員として働くことになります。

お店の現場で働くことも楽しいので、返事はちょっと保留にさせてもらっていますが、どうするべきなんでしょうねー。本社で正社員として働けば給与アップや福利厚生の充実は間違いありません。何かしら大きな仕事を任されるチャンスでもあるはずです。

一方で忙しくなるでしょうし、現場に立つという事もほとんどなくなってしまいます。うーん、悩ましい…。いつまでも返事を待ってもらうワケにもゆきませんし、遠からぬ未来に返事をせねばと思っています。

意外な出会いと、ふと考えた将来の働き方

最後に話はかわりまして、かつての介護施設にいたおばあちゃんに会ったお話を少ししたいと思います。場所は週末にちょっとお買い物と訪れた近所のショッピングセンターです。向かいからやってくるのは車いすにのった見おぼえのあるおばあちゃん。

ご家族との外出を楽しんでいたようです。私の事も覚えていてくれ向こうから声をかけてくれました。懐かしいやらうれしいやら。元気で長生きして欲しいなと願うばかりです。

またご家族の皆様からも「お世話になりました」とありがたいお言葉を頂きました。こういった事があると、介護施設での仕事もそれなりに良かったなぁなんて思います。まあ、ものすごく大変という実情もありますが。

私も結婚して、子供の手が離れたら(まずは結婚相手を探すところからですけどね…)介護施設で働くのも良いかもなんて、無駄に未来の事を考えています。

以上が私の転職経験です。一般的な転職ではないので、皆様の参考になるのか心配ではありますが…。いずれにしても最後までお読みいただきありがとうございました。

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