ルート営業(法人営業)は楽?きつい?ルート営業のメリットとデメリット

仕事の不満

営業の仕事に就こうと考えたとき、個人を相手にする一般営業と法人などの相手とする「ルート営業」という二つの選択肢があります。

営業職といえば新規開拓やノルマなどプレッシャーを感じる場面も多く、歩合制で給与にもアップダウンが激しいイメージがある反面、成果を上げればそれだけ報酬にハッキリと反映されるやりがいのある世界です。

この記事では営業職の中でも「ルート営業」だけに絞って、そのメリットとデメリットをチェックしていきます。自分にはルート営業が合っているのか、自分の良さを生かせる業種なのかどうかを今一度確認していくことで、転職活動に役立てましょう。

ルート営業(法人営業)の仕事内容

ルート営業は一般的な営業職とは違い、もともと会社と取引関係にある「法人」に対して営業をしていく仕事です。つまりルートが決まっている営業職を指します。

そのため、初めての顧客のところに飛び込み営業をしたり、新規開拓をしたりというケースはまず少なく、会社対会社(BtoB)の営業のやり方を教えてもらいながらの営業です。

そのため自分自身は新入社員という立場であっても、会社はその取引先と古くからのつながりがあることも多く、仕事の内容も先輩から引き継ぐことになります。つまり「会社の営業の代表」として対応することになるのです。

ルート営業のデメリット!実際はきつい?

ルート営業の仕事内容を先にざっくりと紹介した内容だけを見ると、「ルート営業は、一般営業よりもかなり楽な仕事なのではないか?」と思った方も多いかもしれません。

しかし、実際にそう考えてなんとなくルート営業の仕事に就いたけれど、やってみたら案外キツかったという声もあることは確かです。

まずは、そんなルート営業が持つデメリット面にスポットを当てて紹介していきます。

取引額の大きさによる責任感やストレス

ルート営業が「会社対会社」の営業であることから見てもわかるように、個人営業での取引と違って「大きな金額が動く取引」を取り扱う仕事だということは一目瞭然です。一件あたり億単位もする案件も珍しくありません。

そのため、大きな責任がのしかかることや、それがプレッシャーやストレスにつながってしまう人も多いようです。大きな金額を自分が動かしているのだ、会社の重圧を感じる…などと重く受け止めすぎる責任感の強い人にとっては、ルート営業はキツイでしょう。

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また正義感が強すぎるタイプの人にも合わないかもしれません。それだけ取引額が大きい仕事では、すべての人が納得する内容とは限らないからです。

こんなやり方で良いのだろうかとか、こんなやり方は許せない!ととらえてしまっても、そこにいる限りは合わせていくしかありません。

顧客と長く付き合うことで起こるデメリット

ルート営業ではどうしても顧客との付き合いが「長期」になります。もちろん長い付き合いになっていることはとても大切なのですが、必ずしもその顧客が「末永く付き合っていきた良い人」とは限りません。

それでもあくまでも顧客であるため、仕事の利益のためならうまくつながって行かなければならないでしょう。相手の性格によっては、時に自分の上司とのつながりを利用して、小言を言われてしまうこともあります。

そうなると細かなトラブルを隠すことが難しく、すぐに告げ口されてしまうこともあるのです。つまり、長い付き合いに付け込んで、顧客がわがまま放題になってしまう可能性も多く、そうなるとルート営業にかかる負担はとても大きくなってしまいます。

なかには会社と顧客との板挟みに苦しむ人も少なくありません。

既存の顧客を怒らすと大変なことになる

ルート営業にとって、既存の顧客のご機嫌はうまく取っておかないと大変なことになります。うっかり相手を怒らせて契約を切られたりすると、その取引額が大きいため会社全体が多大な損害を被ることにつながるからです。

癖のある顧客も多く、これまでに自分が経験してきた人間関係とは大きく変わるということを覚えておいてください。想像以上の柔軟さが求められます。

イライラっとさせられても、会社の運命がかかっているのですから、ガマンガマンの日々です。そのうえで不機嫌な顔を見せずにうまく乗り切る、強いメンタルとコミュ力のスキルが必要になってきます。

相手を変えようとせず、反論せず相手の話を「傾聴」できる技術を磨くなどの努力が必要になるでしょう。

同業他社との競争はある

それでもルート営業には、ライバルそのものがいないのでやりやすいのではないか?と思う人も多いかもしれません。しかし、ルート営業にもライバルはいるし競争はあります。それは同業他社とのシェア拡大などの競争です。

法人が顧客ならば、競合も法人という実に規模の大きな争いが展開されていくのです。ルート営業だからずっとそれが安泰に続いていくと考えるのではなく、油断すれば競争に負けてしまうかもしれないという危機意識を持つことも大切になってきます。

取引先の会社で同業他社の営業マンとバッタリ会うなどということもあり、その時の態度によっては、契約を切られてしまったり、取引先を変えられてしまったりするケースもあり得ます。競争はあるけれど、動揺せずにうまく乗り切ることが大切です。

接待による残業や休日出勤

既存の顧客との長い付き合いとなると、それは何も書類のやり取りや仕事の話ばかりをして関係を続けていくわけではありません。ゴルフや飲食店での接待は世間からよく知られていますが、結婚式への出席などプライベートな場への参加も大切な接待の一つです。

結婚式などは土日に開かれることが多いので、休日を返上して働いているのと同じですね。平日の飲食となれば残業しているのと同じ…。

そして、その際にかかる料金や結婚のご祝儀などは、会社からすべて支給されるわけではありません。自腹を切って出席することも多いためお金はかかるし、残業に休日出勤も多いルート営業は負担が大きい職種と言えるでしょう。

ルート営業のメリット!楽な点!

ルート営業にはデメリットもあるものの、営業職を目指す人たちには圧倒的に個人営業よりも人気があることは確かです。それはなぜなのでしょうか。ルート営業の持つメリット、つまり楽な点はどのようなものかチェックしていきます。

ノルマのプレッシャーはあまりありません

ざっくり言ってしまうと、ルート営業には圧倒的に営業ノルマがヌルいというメリットがあります。これは最大のメリットと言えるでしょう。なぜなら、前記したように個人営業と違い、会社対会社の営業だからです。

つまり、会社というチームで目標設定することになるので、あまり高いノルマを掲げてしまうとチーム全体、担当上司にダイレクトに負担になってしまいます。

その分、営業によくある理不尽な「ツメ」が少なくなります。個人営業の世界では、毎日のようにノルマノルマと圧迫され、暇さえあれば上司から激しく責め立てられる「詰められる」ことは日常茶飯事です。

個人向け営業の給料を見てもわかりますが、ひどいところでは基本給13万+歩合給などというところもあるのです。実際、車や不動産の営業などにはごく普通にあることで、そうなると給料額を維持していくだけでも大変ですよね。

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「売上を上げろ、ノルマをこなせ!」と日々たたかれる個人向け営業と比較すると、極論かもしれませんが「大してきちんと仕事をしなくても給料がもらえる」のがルート営業だということが言えるでしょう。

一般営業のように高い歩合での高給は取れないけれど、その分安定しているというメリットにつながります。アップダウンが激しいよりはストレスも少なそうですね。

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飛び込み営業はあまりありません

ルート営業で働き始めたら「新規はやらないと言っていたのに、新規開拓も視野に入れるように言われた。話が違う」というものも確かに少しはあるものの、個人向け営業ではごく一般的な、いわゆる「飛び込み営業」はあまりないのがルート営業のメリットです。

そもそもすでに人間関係が出来上がっているところへの営業がほとんどですから、精神的にズタズタになるような、相手に迷惑がられるような飛び込み営業というのは、まずありません。

うまくその人間関係に入っていける人なら、とても楽に快適に仕事をすすめていくことができるでしょう。

そうでない人でも、固定化された人間関係の中に通い続けることでだんだんに打ち解けて良いつながりに変えていける可能性が高くなります。いずれにしても飛び込み営業がないというのは、大きなメリットですよね。

教養のある人を相手にするので楽

ルート営業のさらなるメリットは、顧客が比較的教養のあるレベルの人であるということです。たとえば小さな会社なら、そこのオーナー自らが顧客として対応に当たるのが一般的です。そのため個人営業と違い、話が通じる相手ということが言えます。

建築や土建屋さんなどが取引先の場合、中には見た目が強面のオーナーもいるかもしれませんが、下で働いている立場の人よりは、ずっと営業はかけやすいでしょう。

義理人情に厚いタイプの人も多くいます。気に入ってもらって太いお客として長いお付き合いになれば、会社の利益アップにつながるでしょう。そのためルート営業の仕事は長く続けていきやすい環境であるとも言えます。

教養のある相手とのかかわりで得られるものも多く、会話やふるまいなどから自分自身のスキルアップにもつながっていきます。

新規開拓のイケイケはあまりありません

会社と顧客との人間関係でつながっているとも言えるルート営業の仕事では、新規開拓の話が出ることも時にはあるでしょう。しかし、その進め方は個人向け営業のようにイケイケのゴリゴリではありませんので安心できます。

顧客とのつながりを大切にしていくうちに、新規につながる人を紹介してもらえるなど、ジワジワと新規開拓ができることも多いにあるからです。

営業イコール「イケイケ」というイメージが強いですが、ルート営業ではむしろ、顧客の話を聞く力のほうが求められます。前に前にとガツガツ出ていくタイプの性格の人よりも、顧客に合わせてガマンする忍耐力があれば、得られるメリットは大きくなります。

残業はあまり多くありません

「デメリットのところには残業や休日出勤が多いと書かれていたのに矛盾しているのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、実質的にはいわゆる残業はあまり多くはないのがルート営業です。

なぜなら、固定化された顧客との「つきあい」を残業ととらえればデメリットにつながりますが、より仕事を円滑にすすめて利益を増やしていくための方法だと考えればメリットに変わるからです。

入社時は接待なども緊張が強いかもしれませんが、そこは人間対人間。ともに飲食したりたくさんの会話をしたりしていくうちに、ルート営業をしているだけで顧客から得られる知識や教養も多くなっていきます。

ひたすら飛び込み営業の残業よりは、人間関係のつながりのある顧客を接待する残業なので、トータルで考えると楽だということになるでしょう。

やる価値のあるルート営業

メリットデメリットを見ていくと営業職というのはとてもやりがいがあるものの、個人向け営業は熾烈な競争の中にあるハードな世界だということがわかるでしょう。

もちろん法人を顧客とするルート営業にも、大きな責任があって大変そうだし人間関係が面倒くさそうだと感じるかもしれません。

しかし、営業という仕事は会社の利益をそのまましょって立つ重要な存在ですから、経験をたくさん積まないとうまく立ち振る舞いできないのではないか?という不安もよぎります。だからこそルート営業は選ぶ価値、やる価値がある職種だとも言えるのです。

確かにノルマのクリアや飛び込みでガンガン売り込んでいかなければならない業界にいきなり初心者が飛び込んでは、辛すぎて続かないでしょう。でもルート営業ならば入社したら先輩方からしっかりとそのやり方を引き継いでもらえます。

きちんと引き継がないとその上司の恥、会社の恥につながり損失を出すことになってしまいかねないからです。そのため営業職を目指しているけど初心者だから心配という人にもルート営業はおすすめできる仕事と言えます。

でも、大切なのはルート営業として働く企業の探し方です。自分の力だけでよい勤務先を見つけるのは、判断が難しい場合もあるからです。そんな時にはプロの手を借りるのが一番。転職エージェントに相談すれば、安心してルート営業の仕事を見つけることができますよ!

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